第17話
「ん?・・・ああ!?」
《どうしたの?》
「3階に置いてた宝箱が・・・開けられてる!」
《今更?アナタが日中楽しげにお喋りしている間に取られてたわよ?》
そんな・・・って何が入ってたかも覚えてないけど、いざ取られるとショックだな・・・
「えっと・・・3階のココは・・・盾か。3階の盾は・・・と」
司令室、訓練所と別に新たな部屋を作った
それが今訪れている倉庫
絵を描いて道具を作る時は必ず2個作るようにしている。なぜなら絵を取っておくより現物を取っておいた方が次に作る時に楽だからだ。絵は無くしたり燃えたりしてしまう可能性があるけど、現物ならそうそう無くしたりしない。なのでその2個作った片方を宝箱に、もう片方をこの倉庫に置いている
「あった、これこれ。そんじゃまあ作って、と」
現物を見て同じ物を作るとすぐに開けられた宝箱に配置して完了・・・一応同じ場所の宝箱からは同じ物が出るようにしてるけどいずれはランダムにしたいな・・・低層階から物凄い剣が・・・なんて噂になればもっと集客も見込めそうだし
《まだまだね》
「ん?何が?」
《人間は慎重過ぎるのよ・・・とっくに踏破出来そうなパーティーも何組かいるのだけどあっさり帰っちゃうわ》
「そりゃそうでしょ?僕達は知ってるけど冒険者は先に何があるか分からないから慎重にならざるを得ない・・・それに無駄に大きくしたせいか階層を攻略するのに時間がかかるしね」
《それはそうだけど実力ある人間が低階層にこもってるとマナを使わない分赤字なのよね・・・さっさと下に下りてくれないかしら・・・》
ダンコの言いたい事も分かる
ディーン様ほどじゃないけど実力者は1階2階でマナを使ったりはしない。そうなると魔物を倒されるだけ赤字に・・・良い案があれば良いけど・・・そうだ!
「直通の道を作ってみるのはどう?」
《直通?》
「うん・・・例えば入口から3階まで一気に下りられる道・・・階段を作るんだ。そうすれば無駄に魔物が倒されたりしなくなるかなって」
《なるほどね・・・なら階段じゃなくてゲートを作る?》
「ゲートを?」
《ええ。本来なら10階単位で作るつもりだったの・・・11階まで下りてまた上がるのキツイでしょ?だから1階と11階を繋げるゲートを作るの。そうすれば一気に行き来出来るし楽でしょ?》
「・・・それだと初心者とかがいきなり10階とかに行っちゃわない?」
《大丈夫よ。ゲートに制限かければいいだけ・・・『10階に行ったことある者のみ利用可能』みたいな、ね》
なんて便利なんだ・・・ゲート
となると入口のすぐ近くにゲート部屋みたいなのを作って・・・
《早速作る?》
「早っ!」
《善は急げよ。イメージはどんな感じ?》
「そうだな・・・こうやって入口の通路の途中に1階とゲート部屋の分かれ道を作って・・・」
水晶に映るダンジョンでどう作るか説明するとダンコは納得したようで早速作る事になった
今までなかった道が突然出来ると冒険者が混乱するからと『左ゲート右1階』という文字も床に大きく書いておいた
ゲート部屋には現在ある階層分・・・つまり2階から6階までを選べるようにゲートを配置。ゲートの前の床に数字を書いて間違わないよう工夫する
「一つ目の部屋を2階から10階までにして、11階からは別の部屋にした方が良さそうだね。そうすれば分かりやすいし」
《そうね。各階にゲートを作れば自分に合った階にすぐ行ける・・・帰りはどうする?》
「帰りか・・・帰りもゲートを通れるようにしよう。そうすれば長くダンジョンに居てくれる可能性が高くなる」
《長く居ればその分マナも使う・・・いいわね!》
各階のゲートの出口からも入れるように設定する。これでゲートを使って瞬時に各階に移動する事が出来るようになった
その後、いちいちゲートを開くのが面倒なので兵舎にある自室とダンジョンを繋げておこうとしたら却下された。理由は『ゲートをダンジョン内で繋げる分にはそんなに消費しないけどダンジョン外に繋げて放っておくとマナの消費が半端ない』のだと・・・面倒だな
《さ、まだ未配置の場所とかもあるんだからね。下手すると眠れないわよ?》
・・・やっぱり門番辞めようかな・・・徹夜でずっとあの場所に立ってるのはさすがにキツイ・・・
脳裏にヘクト爺さんが楽しげに話す姿が浮かび、思い直して首を振り両手で頬を叩いた
《・・・何してんの?》
「気合い入れたんだよ!さあどっからでもかかって来い!魔物を配置しまくってやる!」
《いや配置しまくっちゃダメでしょ・・・》
・・・何とか2時間くらいは寝れたかな・・・重たい瞼を無理矢理こじ開けベッドから這いずり出る
「ロウニール!・・・何してんだ?」
「あ・・・ドカート隊長・・・」
ノックもせずにドカート隊長がドアを開けて入って来たものだから床でスライム状態の所を見られてしまった
「・・・まあいい。国より制服が支給されたから今日から着るように!」
「制服・・・ですか?」
「・・・とりあえず立て。これからは国も介入してくる・・・今までのようにいかないぞ?俺もいつまで隊長でいられるか・・・」
言われて初めて隊長に対して失礼な態度を取っている事に気付きすぐに立ち上がると頭を下げた
「申し訳ありません!・・・それで・・・国の加入って・・・」
「今まで村の中で兵士を募り門番や見回りをして来たが、今後は国から兵士が派遣されてくる事になった。恐らくは『お目付け役』だろうな」
「お目付け役・・・ですか?」
「ダンジョンはかなりの収益を村にもたらすと聞いている。その収益を懐に入れないように監視役を送り込んで来るのさ。まあそれだけ村に期待してるって事になるがな。で、その監視役はどっかの騎士団の部隊長らしい・・・となると俺よりだいぶ上の身分だからな・・・派遣とはいえ俺の上司になるのは間違いないだろう。これまで通りにはいかないぞ?」
思い返してみればドカート隊長は細かい事をとやかく言う人ではない・・・けどもし国から派遣されて来るそのお目付け役がうるさい人だったら・・・
「ほら!着替えてすぐ行く!・・・あー、それとヘクト爺さんに制服届けといてくれ。嫌がるかも知れないが着てないと何言われるか分からないから無理にでも着てもらうように!」
・・・なんか押し付けられたような気もするけど・・・まあいっか
ドカート隊長が部屋から出て行った後で僕は渡された服を着てみた。薄い茶色で動きやすさを重視しているデザイン・・・悪くない
《・・・アナタいいの?かなり遅れてるわよ?》
「え?ああ!?すっかり忘れてた!」
起きた時点でギリギリだったのに・・・もうとっくに外は明るくなり村が活動を開始していた
急いで兵舎から出て門に向かって走っていると村の様子がいつもと少し違う事に気付く。ザワついているような・・・何かあったのだろうか?
《気にする事はないわ。村の様子がおかしいのはゲートのせいよ》
「ゲート・・・ああ、そうか。もう気付いたのか」
走りながら片目を閉じるとゲート部屋に何組かのパーティーが入っていてあーだこーだ言っていた。どうやら誰が先に入るか揉めているらしい
《人間って臆病ね。さっさと入ってみればいいのに》
「あれ、そっち?」
どうやら我先に入ろうとしているのではなく、実験台になれと譲り合っているらしい。地面に数字は振ってあるけど簡単には信用出来ないか・・・それに例えば3階だったらその3階のどこに繋がってるかは分からないし当然か
どうなるか眺めていたいけど走っていたせいかあっという間に門に着いてしまった
遅れた事をヘクト爺さんに謝りつつ持って来た制服を渡すと意外や意外、特に嫌な顔する事無く物陰であっさりと着替えてしまう
「ヘクト爺さんは制服とか嫌がると思ったのに・・・」
「言ったであろう?門番は村の顔・・・2人の門番がちぐはぐな服を着ているよりは
ヘクト爺さんの基準が分からないけど・・・本人が納得してるならいっか
こうして今日も始まる門番の仕事
一時期よりはまばらになったけどまだまだ冒険者は新規のダンジョンを目指してやって来る
そんな中で一際目を引く冒険者が村にやって来た
まず目を奪われたのは歩く度に揺れるお胸とチラつく生足
瞼に青い色を付け、頭にはお団子二つ
旅人にはそぐわない扇子を手に持ちこちらに向かって歩いて来る
「はい」
「え?」
「ギルドカード・・・いらないの?」
「あっ、いえ!確認させてもらいます!」
見とれてて一瞬何を出されたか理解出来なかった
《ペギーちゅわん》
うるさい黙れ
別に今でもペギーちゃん一筋なのは変わらない・・・けどあまりにも綺麗で・・・見てるだけで幸せになれる
そんな僕の対応を見ていて、この女の人の連れがニヤニヤと笑っていた
どうやらこういう感じは慣れてるらしい・・・そりゃあそうだ・・・健康な男子ならついつい見てしまう
「か、確認出来ました!エモーンズ村へようこそ!」
「どうも」
通り過ぎる際の匂いも・・・いい・・・
《ペギーちゅわん》
・・・
胸からせり出ているダンコをコツンと叩く
《何すんのよ!このスケベ!》
そのスケベはどっちを指しているのだろう
叩いた事に?それとも見とれてた事に?
まあどっちでもいいか・・・それより・・・
振り返ると門を通り過ぎた所で連れと何やら話していた
連れの格好はどう見ても冒険者・・・って事は彼女も冒険者なのだろうか
サラ・セームン・・・ギルドカードに書いてあった名前を心の中で呟く
彼女はギルドカードを提示して来たから冒険者・・・今日のダンジョン観察は非常に楽しみだ
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