そもそも精霊の加護無くして成立しない国で、精霊の加護を受けることができるのは王族のみ。
だのに革命は起こった。腐敗した政治を打倒するために。
そして、その革命からすでに一年がたった。
自ら王子の首を刎ねた、その王子の従者だった男
陰から革命を指導した王子の双子の妹
わざわざ死んだ王子の体に寄生した精霊
三話構成で、三人ともう一人によって語られる革命の真実とは……この国の行く末は……
どうですか? 気になりませんか?
読者目線だと従者くんが不憫すぎて応援したくなります。だって王子そっくりな顔とまんまの顔がそばにあるのだから。そりゃ食も細くなるというものです。シリアスの中にも可笑しみがある。こういうとこ好きです。
悲劇的な始まりです。
しかし悲しみは、ないのです。
苦悩や葛藤はあっても登場する三人には
慟哭や憐憫はありません。
誰もがやるべきことを知り、贖いを引き受けます。
決心し計画して、役割を全うしようとします。
アンリは苦悩を吐露するように、ルイーズは淡々と、ルイは真っ直ぐに、精霊は愚痴を零しているみたいに。
順番に王国を再興する計画と、その顛末を語ります。
〝ぜひ、見ていてください。あなたが守ると約束してくれた、人というものを〟
ルイの言葉は読む者まで
やがて再興に至るであろう王国の未来を見せるのです。
本作は押韻とリフレインで彩られた、秀麗な構文で綴られる人間讃歌です。
どなた様もぜひ御一読くだされば。
そう祈念いたします。