第11話「共鳴の真実」



研究所上空で、巨大な影が紡ぐ言葉が響く。

『量子共鳴は、人類を束縛する鎖ではない』


「この声、間違いない……父さんだ!」

陽斗の叫びに、すべての機神が反応する。


「人類進化促進装置、出力85%!」

グレイ副所長の狂気じみた声が響く。

「人類を、強制的に次なる段階へ!」


地下の巨大装置が、禍々しい赤い光を放ち始める。


「陽斗君!」

九条が通信を開く。

「相馬博士は気付いていた。量子共鳴には二つの可能性があると」


美咲が解析データを送信する。

「強制的な進化か、自然な目覚めか……!」


上空の影から、新たなメッセージ。

『人の心は、決して力では変えられない』


「やっと、分かりました」

陽斗の量子共鳴率が急上昇する。

「父さんが、僕たちに託したかったもの」


「理解できんのか」

グレイが怒りを爆発させる。

「これほどの力を、ただ眠らせておくというのか!」


「違う!」

今度はレイが前に出る。

「力の使い方を、僕たちに委ねたんだ」


閃機神と暗機神が、波動を放つ影と共鳴を始める。

それは、まるで新たな意識の目覚めのよう。


「共鳴率が、限界を超える!?」

凛が驚愕の声を上げる。


「みんなの意識が、一つに……」

美咲が目を見張る。


その時、研究所の地下装置が不安定な振動を始めた。


「止めろ!」

グレイの制止も空しく、若きパイロットたちの意識が、完全な共鳴を果たす。


「見えます」

陽斗の声が、静かに響く。

「父さんの見た、未来が」


光に包まれる研究所。

そして、すべてが明らかになる時が訪れた。

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