第5話
クロウディスたちは、先程いた教室から外へと移動していた。
「さて、取り敢えず外に出たわけだけど。何か質問はあるかな?」
「せ、せんせぇ~? ど、どうして外に、でたんですか?」
「それも今から説明するよ」
そう尋ねてきたナーフェにクロウディスは笑みを浮かべながら、五人の姿を視界に納める。
「さて、外に出てきたいきなりだけど
「はっ! 言われずとも今までずっと感じてこの肌で感じてるよ!」
キーグスの言う通り、この世界は
「そんで、さっきあんたが言っていたのは本当なんだろうな?」
「ああ。「
「深魂吸」 それは空気と同じように存在している
幸いにして、現在の騎士団で「深魂吸」の失敗による死者はいない。が過去に目を向ければ力を求めて死んだ人間は数知れない。故にこれは秘匿とまではいかないがあまり知られていない。そこそこ機密性が高い技術でもあった。何故あまり知られていないのかと言えば、馬鹿な貴族が知ればろくでもない事が起こり得るとクロウディスと彼女、そして国王であるルイータルが判断したからだった。
そして、だからこそ三人で決めた。信頼の置ける者達でなければ教えないと。そして、国防を担う騎士団の面々は危険が多い。故に死なせないために騎士団長である彼女とクロウディスは団員達を思い「深魂吸」を教えたが、その内容を洩らすことは禁止している。そして、団員達も二人への信頼に応えるために一切の口外をしていない。なのに何故そんな機密性の高い技を教えようと思ったのか。それは、単純な答えだった。
(今の僕は、この子達の教師だ)
騎士団員達であれば、仲間であるので生き残ってほしいという思いで教えた。
だが、今のクロウディスは教師である以上、教え導き、生徒たちを信じる。そう決めてクロウディスは「深魂吸」を教えることにした。
子供ゆえに危険であり、情報が洩れる可能性もある中で決めた。甘いとは自身でも思った。けど、構わないとも思っていた。
(世界が平等ではないのは、当たり前だ。けど、)
少しくらいは良いだろう。とクロウディスは思った。
そして、相変わらず不機嫌だが期待を内包しているキーグスに、そして他の四人に向けてクロウディスは生徒達を思い警告する。
「だからこそ、君たちにはまず己の魔力を自在に扱えるようになってもらう。その為の基礎の中の基礎である魔力操作を極めてもらう。全てはそこからさ。ああ、もちろん他の誰にも言わない事、いいね?」
真剣なクロウディスの言葉に四人は有無を言うことなく頷く。
脅しのように警告したが、そもそも「深魂吸」は魔力操作すら出来なければ、身近に存在し肌で感じれる
何せ
故に、生命は無意識のうちに必要ないと体内魔力(オド)によって弾いている。その部分、体内魔力(オド)の壁に意図的に穴を開けることで
「分かったかな?」
「「「は~い!」」」
「キーグスも、いいかな?」
「ちっ! 分かったよ!」
約一名、立ったまま眠っているシェン以外の返事が聞こえたので、さっそく各々で魔力操作の練習を始めようとしたときだった。
「あ、あの!」
「ん? どうしたんだ、ミリアーデ?」
「その、クロウ先生は「深魂吸」は出来ないんですか?」
ミリアーデの質問に他の三人の視線がクロウディスへと向く。だが、それも仕方がないと言えた。自分たちの目指す先の完成形である「深魂吸」。それが見ることが、もしくは少しでも感じ取ることが出来ればそれは確かな意欲となり得る。それを分かっていながらもクロウディスは苦笑を浮かべる。
「ごめんね。
「そ、そうですか‥‥」
クロウディスの言葉にシュンとしたミリアーデに、クロウディスは近づき目線を合わせるようにしゃがむ。
「大丈夫。視せる事は出来ない。けど」
しっかりと、ミリアーデの眼を見ながらクロウディスはそう語りかける。そう、今の彼、彼女達は生まれてすらいない卵。この学院に入学した他の同級生たちと才能の差を感じているようだがそれも卵の時にいくら背伸びをしたところでの団栗の背比べ。本番は卵という殻を破ったその時にこそクロウディスは知っている。だからこそ、彼ら彼女らが大きくなれる為の確かな土台となる下地を作るのだ。
「諦めずに頑張れば君達なら絶対にできる。嘘じゃないし僕も最善を尽くすだから、頑張ろう?」
「はい!」
クロウディスの眼を見返してきたミリアーデは、元気に返事を返した。
「という訳で、君達には
「「「「はい?」」」」
「コースはこの校舎周囲の森の中。今日は魔力操作の練習だけだけど明日からは体力づくりを兼ねた走り込みもしてもらうよ。頑張ろう!」
「「「・・・・・・いやだああああぁぁぁぁっっっっ!!!!!」」」」
励まされてからの突然の無理難題ともいえる内容を理解した三人は絶望の表情と声を上げる中でシェンだけはそんな悲鳴など聞こえないとばかりに、立ったまま器用に眠り続けていたのだった。
(さて、時期的にもそろそろ限界だろうから。取りあえず事後報告になるけど、夜には伝えにいこうかな)
と、クロウディスは別の事を考えながらまずは明日の事に絶望して現実逃避を始めた三人を現実に復帰させる為に、気付けの為に手に魔力を収束させた状態で拍手するとパァンと音が響くと同時に魔力も拡散し、三人の意識を揺さぶる。
「・・・・・・・・・はっ!?」
「あれ? 僕は…?」
「あれれぇ? わたしはぁ、いったい…?」
ミリアーデ、スコルプ、ナーフェの三人が現実に復帰した事を確認するとクロウディスはもう一度、今度はただ手を叩き意識を自分へと向けさせ、告げる。
「さて、それじゃあ魔力操作の練習を始めよう」
こうして、魔力操作の練習が幕を開け。その様子をぼーっと見たシェンは再び目を閉じて、その意識は再び眠りについたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます