31話 リベンジ
「畜生!! 畜生畜生畜生畜生!!!!」
「どうかお気を確かに。レヴィーナ様」
「うるさい!!!」
レヴィーナは血走った目で、自分の事を宥めてくる黒服の人間、元々は日本の政治家であった者達を睨みつけながら、ヒステリックに怒鳴りつける。そのあまりの剣幕に思わず怯む黒服達。その姿は、少し前まで日本の権力者だったとは思えない程に、情けないものだ。
「ふんっ! 今の日本の支配者は完全な怪物である私達。お前ら人間は、飼い殺しの犬に過ぎないのだ」
そう吐き捨てるとレヴィーナは、黒服の男達に背を向け、昼間ヴァネッサに蹴飛ばされた時の事を思い出す。そう、あれを最後にレヴィーナの意識は完全にシャットアウトし、気づけばこの宮殿のベッドに寝かされていたのだ。
目を覚ますと、黒服の男が最初に視界に入り、人間に助けられたのだと理解した瞬間、レヴィーナの中で途方もない恥辱感が湧き立ってきたのだ。
「この私が後もう一歩と言う所で、あんな雑魚にやられて、人間なんかに助けられただとッ!? クッ!!」
レヴィーナは爪が食い込まんばかりに拳に力を入れると、壁を思いっきり叩く。
「あの女っ! 絶対に許さないッ!! そうだ、確かあの女の仲間の一人が随分弱ってたはず」
憎しみの表情から、黒い笑みヘと表情を変えたレヴィーナは、何を思いついたのか呼吸を整え、目を瞑る。
そして静かに口を開いた。
「蛇影の術」
その謎の言葉が唱えられた瞬間、レヴィーナの影から一匹の黒い蛇が出てきた。黒い蛇は、まるでレヴィーナから出される命令を待っているかのように、レヴィーナの方を向いたままその場から動かない。
レヴィーナは、自分を見つめる蛇の目線に合わせるようにしゃがみ込むと、何かの念を蛇に送るように蛇の小さな頭に人差し指を乗せ、再び言葉を発した。
「蛇咬の術」
すると、蛇は一瞬禍々しい色のオーラに包まれると同時に、その細長い体をうねらせながら、どこかに去っていった。
その姿を見て、レヴィーナが満足そうな笑みを浮かべていた時だった。部屋のドアが開いた気配がし、慌てて後ろを振り返ると、そこには醜い姿をしたアグリーが立っていた。
「あ、アグリー......」
「アグリー?」
思わず自分の主人であるアグリーを呼び捨てで呼んでしまい、怪訝そうにアグリーに聞き返される。
「ご、ごめんなさいっ! アグリー様」
慌てて謝り、様をつけて呼び直すが遅い。レヴィーナの頬に衝撃と痛みが走る。アグリーがレヴィーナの頬を打ったのだ。打たれた衝撃で、レヴィーナの身体はよろめく。
「ふんっ! 役目も果たせぬクズが。次なる作戦は立てておろうな?」
「は、はい。今実行に移している所です」
「ほぅ? 期待しておるぞ」
期待している。とてもそうは思えない冷たい口調で言い残すと、アグリーは部屋を後にした。
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