第10話 仲間たち……
魔素が見えてもそれを吸収するのには少し時間がかかった。
しかしそれを吐き出す事は直ぐに出来るようになった、センスがいいのだろう。
吸収した魔素を刃の形にしてそれを岩にぶつけると、岩が真っ二つに割れた。
同じようにして、今度はボールの形にして岩にぶつけると、今度は岩が粉々になった。
粉々になった岩が自分の方に飛んできて、頬をかすめて怪我をしたが、吸収した魔素で回復させると、あっという間に元通りに回復した。
おお、これが回復魔法か。
俺は攻撃魔法と回復魔法を同時に覚えた。
ゲームでいうなら、レベルが上がったというところだろう。
首輪(指輪)の力である稲妻も、雨のように降らせたり、マシンガンの玉ように連続発射ができたりと、幾つものバリエーションが使えるようになった。
タダでさえ最強を
スペシャルサンダーとかムーンクラッシュとか、技を出す前に言った方がカッコ良いんだろうか?
やっぱそんなこと恥ずかしくて言えねー。
いちおう転生まえは一匹狼の極道者だからな、キャッチコピーにもあるはずだ。
やっぱ言えねーな。
練習はこのくらいにして、今日はビールでも飲みに行って寝ることにするか。
気が付けばもう夕方になっている。
あれから俺の師匠(
魔王である俺の師匠と言うポジションが心地よいのだろう。
最近はキャバクラ通いをしているらしい、もちろんお金なんかいらないからな。
俺の師匠だ、どこへでもフリーパスだ。
最近この世界にも携帯電話みたいな物ができた。
どこの世界にも天才はいるものだ、まあ俺も天才だけどね。
その携帯は電派ではなく、魔素を受信している。
転生まえの世界にあったスマホのような機能はなくて、通話のみの代物だ。
魔素は電波であり、電気であり、気であるのだ。
その携帯は発売されて間もないことから、凄く高価なのだが俺の関係者は皆に配っている。
俺はリリィを誘うことにした。
「アンタから連絡があるなんて珍しいわね、なんか
久しぶりに話すリリィだが、彼女はやっぱり可愛げがない。
「ビールでも飲みに行かないか?」
「あら、ビール良いわね。 今パックしたばかりだけど行くわ、魔王さまの誘いなら断れないからね」
別の者を誘うのだった……少し後悔した。
「ホント久しぶりねチャム」
リリィとは久しぶりに会う彼女は少し大人っぽくなっていた。
「なんかお前、老けたと言うか大人っぽくなったなぁ、彼氏でもできたのか?」
「あら、それセクハラよ。 そんなんじゃないわよ、今の私はいちおう経営者なのよ、学校の経営ってとっても大変なのよ。 いろんな生徒が居るんだから」
「それを言うなら俺だって大変だぜ」
少し落ち着いた雰囲気のバーで飲み始めた。
「そうよねアンタ魔王になっちゃったものね、あの頃皆んなで旅してた時が一番たのしかったわ」
「まあな、懐かしい想い出だな」
「何かを得ると何かを失うって言うけど、ホントその通りだと思うわ最近。 チャムの言う通りワタシ歳をとっちゃったのかしら」
照明が少し暗いせいか、リリィの横顔が寂しくみえた。
「お前、なんか悩みごとでもあるのか、もしあるなら俺に相談しろよ」
「なに言ってるの? 悩みなんかある訳ないじゃないの。 バカじゃないの」
そう言ってリリィは悲しく笑った。
そしてその日が彼女と会った最後の日となった……
ゴンタからの電話で目を覚ました。
時間を見るとまだ朝の6時だった。
「お前いったい何時だと思ってんだ」
「大変だべ、リリィが死んだべ、オラ悲しい」
「な……ウソだろ」
彼女の死は自殺だった。
ある妻子もちのフェリーと不倫関係にあったらしい。
俺が知らなかっただけで、2人の関係は皆んな知っていたとのことだ。
今となっては自殺の原因は分からないが、彼女は辛い思いをいっぱいしたのだろう。
「リリィ辛かったなぁ」
俺は声をあげて泣いた。
「ちょっと、アンタ何してくれてんの」
「お前なぁ、不倫して自殺なんかしてんじゃねえよ」
「アタシの勝手でしょ、アンタに関係ないじゃない」
「この物語りはな、異世界転生痛快ファンタジーなんだよ。 設定があるんだよ、設定が」
俺は覚えたての回復魔法ベホイミでリリィを
「何よアタシにだってプライバシーがあるんだからね。 プライバシーが……恥ずかしいじゃない、このままずっと生き恥さらして生きて行くの嫌だ」
「不倫だとか自殺だとか、今そんなのいらないから」
「アンタに女の気持ちなんか分からないのよ」
「分かんねえよ、俺の中身は男なんだよ。 もう自殺なんかするんじゃねえぞ」
「バカバカバカ、バカ〜」
うるさいヤツだな、ま、でも俺は何回でも蘇らせてやるからな。
それからのリリィは怒りをボーガンに打ち込み、達人のレベルまで達することになる。
「おう、コッチじゃ、チャムよ」
「師匠」
とあるキャバクラに師匠(珍幻斎)に呼ばれてやってきた。
なぜか師匠はサブと飲んでいた。
「いやあ、最近この御仁と意気投合してな。 聞けばお主と縁があると言うではないか」
「アニキ久しぶりっす」
2人ともかなり酒が入ってるようだ。
「ホントだお爺ちゃん、魔法さまと知り合いなのね」
「そうじゃろ、そうじゃろ、爺いは嘘は言わんよ」
「あっ、もう、またお尻さわった、エッチ」
「お、悪い手じゃ、この手は悪いてじゃ」
「もう〜、また」
呼ばれて来たは良いが、まったく見ていられない。
「サブ、久しぶりだな」
師匠はほうっておいてサブの隣にすわった。
「ホントっすね、アニキ忙しいから」
「そんなこたねえよ、タマには連絡しろよ」
「そうっすね、ちょくちょく連絡いれます」
聞けばサブは今パチプロに成っているらしい。
師匠との出会いは、パチンコ屋のスロット台の隣りに座って居て、サブが目押しをしてやったのが知り合ったキッカケと言う事が分かった。
まったくどうでも良い話しだ。
「それはそうと、お前に聞きたい事があったんだ」
「なんすか?」
俺はサブに守っていた宝箱のことを聞いてみた。
勇者が俺を狙っているからだ。
と言うのも勇者に成ると言うことは、ゴーレムが守るあの宝箱を開けたと言うことだ。
俺の場合、相手がサブだったので簡単に手に入ったが、他の奴ならサブにやられているはずだ。
そんな強いゴーレムを倒すのだから強いに決まってるのだろうが、その勇者が手に入れたアイテムには興味がある。
「そこら辺お前なにか知らないか?」
「宝箱っすか?」
「そうだ、宝箱だ。 他にもあるのか」
「あ〜、4
「4種の神器?」
「はい、指輪には
「なんて? もう一度いってくれ」
サブの話しをまとめるとこうなる。
指輪→鎧→盾→剣→指輪が強いということだ。
と言うことは、俺は鎧に強くて剣には弱いと言うことになる、これが4種の神器の法則らしい。
なるほどな……
「じゃあ、相手が盾ならどうなるんだ?」
「それは分かんないっす」
相変わらずサブは軽かった。
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