リアル異世界

紘希

第1話 まずは自己紹介と他己紹介

 紘希ひろき、それが俺の名前だ。年齢は26歳、好物はコーヒー、趣味は読書。どこにでもいる普通の男のようだが、俺は『交代人格』だ。

 この体は、なごみという24歳の女性のもので、俺たちは解離性同一性障害(以下、DID)と診断されている。DIDはかつて多重人格障害と呼ばれていたもので、一人の人間の中に複数の人格が存在する精神疾患だ。つまり、俺(紘希)は和の中に存在するもうひとりの人格というわけだ。

 和は、体の持ち主の基本人格であり、生活の主軸となる主人格しゅじんかくでもある。幼少期から頭の中で俺の声が聞こえていたが、当たり前の事であると同時に自分の無意識の声だと思い込んでいた為、俺の存在が他者に知られることはなかった。ところが、24歳の秋、俺が表に出たことをきっかけに自分の症状を自覚し、解離性障害の専門医の診察を受けることにした。そして、DIDと診断された。

 そんな和には、実はDID以外にも多くの障害がある。まずは脳性麻痺。生まれつき手足が不自由で電動車椅子で生活している。そして、慢性呼吸不全。出生時より呼吸機能に障害があり、今では在宅酸素療法を行っている。また、高校生でADHD(注意欠如・多動性障害)、読み書き障害の診断を受け、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向もみられる。

 ここでは、そんな和と俺の何気ない日々を綴っていこうと思う。

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