突如、ギリシャ神話の神々に『タオラロス』という異空間に召喚された様々な国籍や価値観の若者12人。
彼らに神々が課した試練は「ラティス」という名の怪物を倒すこと。
ギリシャ神話の荘厳な世界と、12星座。占星術が絡みながら、12人の若者の成長と戦いを描いた群像劇。
聞いていただきたいのは、私はこの作品を拝読するにあたって何度か脱帽しているのだが、最初に脱帽したのはタイトル。初手投了である。
『タオラロス』の語感と荘厳さ。そして手を伸ばしたくなる謎感の心地良さよ。なんなら『12人』の方も良い。タイトルに人数入れてる作品が名作であるのは黒澤明から始まった世界の法則なんですよ。もう、こうなると真ん中の助詞も良くなってくる勢いである。
異能バトルの華をどこに捉えるかは、作者と読者にそれぞれ委ねられる部分があるが、この作品の世界観を構成する用語が、『過度に厨二病的ではない』ながらも、厨二病を、いや、『子どもの心を持ったまま、平成後半を駆け抜けた』私のような大人の心を大きくくすぐる。あの時代は、荘厳で知的、謎に溢れながらも、世界観の設定のギミックが、深くキャラクターの人間性に根ざした、どこか世界に生きづらさを抱える若者たちの心が生み出した神話のような作品が多く発表された時代でもある。そうした美しく、謎に満ちていて、知的好奇心と考察魂をくすぐるようなエッセンスを構築された世界から確かに感じられる。
タオラロスはギリシャ神話の有名な神々が作った異空間で、読み進めるまでは、タオラロスという謎の場所で、自分の意に反して「ラティス」という怪物と戦わせられる12人は神々を憎んだりしているのかと思っていたんだけど、このタオラロスという空間は、12人の若者がある程度快適に過ごせる住居や共同生活のためのキッチンやダイニングなんかの空間があるし、神と夜中までゲームして寝坊するメンバーまでいる。(無理矢理付き合わされてたのもあるけど)
あと、神が一章までの間だと絶妙に人間くさくてめんどくさいのが良いですね。神の存在格で拗ねると世界がヤバいのでやめてほしい(笑)
そして、主人公達の世代である第四世代以前の先輩たちOBが主人公たちの異能力や戦術のコーチを勤めているところに、この作品の群像劇としての深みがある。
この作品は群像劇で、誰が主人公と決まってるものじゃないんだけど、そういう作品は『視点の散り』と『描写の散り』という構造的な弱点を埋めることを考えないといけない。
この作品の次なる脱帽すべきポイントは、現役世代12人プラス他世代という広がりを見せる中で、特に現役世代となる12人のキャラクター像がはっきりと立っていることだ。
マルセロ。強くなりたい。地球に帰りたい。等身大の青年の身体と想いの奥に、燃える熱いものを宿すこの群像劇という作品の主人公格。
彼だけではないが、この作品のキャラクターのそれぞれに彼らが対応する星座のモチーフと元素にちなんだパーソナリティが組んであり、それが内面の長所と短所を端的に表している。先にも述べたように、この作品はキャラクター同士のやりとりや描写がきちんと練られていて、それだけでもキャラクターのパーソナリティを如実に感じさせられるところに作者の力量が窺い知れるが、それだけに留まらず、キャラクター達が背負う星座のモチーフや神話的概念からも、キャラクターや作品の考察が進むところが、この作品の懐の深さというものだろう。
現在、1章読破。
最新話まで、ゆっくりとこの世界に浸っていこうと思う。
十二星座を軸にしたキャラクターの姿はとてもいきいきしていて、彼らの異能力の様相はじつにダイナミック。
その中に知性が混ざり合うことで独特の物語的エネルギーが生まれ、グイグイ引き込まれます。
この作品の魅力は、たしかな知識に裏付けされた意味の説明と、その役割による効果が物語の動きに反映されるところ。
ドラマはまさに太古バビロニアから続く壮大な思想体系の延長線上で、縦横無尽に描かれていく。
そんな占星術要素とフィクションの掛け合わせは、想像力をどこまでも刺激してくれます。
なにより少年少女たちが抱える心情が、よりいっそうの共感を呼び、読んでてワクワクが止まりません。
個人的に西洋占星術に関心があることからも、天体や星座を意識しながら読み進めるのは楽しい読書体験でした。
純粋に占いに興味がある人も、バトルものやファンタジーが好きな人も楽しめる、ふところの深い物語です。
この作品は、読者が事前にある程度認識のある「星座」をモチーフに、十二星座が持つ意味やエネルギー論を登場人物の能力へ落とし込んだ、堅固なキャラクター設定が魅力の作品だと思います。
冒頭では星座の意味や役割が丁寧に解説され、占星術に基づいたエネルギー論がそのまま人物の行動や能力に反映されているため、世界観が非常に理解しやすく、自然と物語に入り込めました。
ストーリーは、神々に召喚された少年達が怪物ラティスと戦う力を学ぶところから始まりますが、単なる勇者や転生ものではなく、同じ魂を何世代にもわたり召喚して鍛え上げるという構造があり、物語に重みと広がりを感じさせます。
序盤でキャラクターの個性が丁寧に描かれているため、模擬戦などの展開でも能力や役割が理解しやすく、チーム戦や戦術の面白さも感じられました。
高校生や大学生という年代らしい熱量や青春の空気も魅力のひとつだと思います。
まだ序盤までしか拝読していませんが、今後の展開も楽しみに追いかけていきたい作品です。
あるとき突然、地球によく似た異空間「タオラロス」に集められた少年少女たち。
彼らを連れてきたのは神々であり、その目的は地球侵略を企む「ラティス」の討伐だった……。
作中に出てくる全員が主人公であるかのような、みなはっきりとした個性と存在感に驚きました。
会話も洋画的といいますか、少しクスリとくる感じがよく、それがますますキャラを引き立てています。
そしてなにより、十二星座、それから星を組み合わせた異能。
派手ではないですが、それぞれ特徴がある力をどう活かしていくか。
しっかりとした世界観の中で描かれる英雄譚ファンタジーだと思います。
ほかと違った本格的なファンタジー小説が読みたい方、ぜひ一読をおすすめします。
『タオラロスの12人』は、十二星座に導かれた少年少女たちが、見知らぬ星の大地で少しずつ自分自身と向き合っていく、心に沁みる成長の物語です。
授かった異能の力や、神々からの神託という重圧に戸惑いながらも、それぞれが“誰かと共に在る”ことの意味を見出していく姿が、とても丁寧に、優しく描かれています。
なかでも心に残ったのは、ゼウス神殿でのマルセロの祈りの場面。
造られた月の光に照らされながら、自分の弱さや言葉にならない感情と静かに向き合おうとするその姿は、読むこちらの胸にもそっと届いてきました。
仲間とのすれ違い、葛藤、時には苛立ちも抱えながら、それでも前を向こうとするその一歩一歩に、何度も励まされます。
この物語は、ただの異能ファンタジーではありません。
“ここにいる”こと、“生きている”ことの実感を、やわらかく、でも確かに、教えてくれる優しい旅路です。