第10話「社内運動会開催!」



「社内運動会!?」

社員たちが驚きの声を上げる。


「はい」

圭介が元気よく宣言する。

「働き方改革の一環として、社員の親睦を深めましょう!」


「でも社長」

メリッサが心配そうに進言。

「種族によって身体能力が違いすぎます」


「大丈夫!」

レオが尻尾を振る。

「特別ルールを考えました!」


* * *


運動会当日。社屋の裏にある広場には、魔法で特別な競技場が作られていた。


「第一種目!空飛ぶ障害物競走!」


「えっ!?」

圭介が目を疑う。


競技場には、雲の上を渡る橋、炎の輪くぐり、そして虹のスライダーが。


「これは...」


「種族に関係なく、魔法の箒を使用します!」

レオが審判旗を振る。

「位置について...よーい...」


「待って!箒の乗り方が...」


「スタート!」


選手たちが一斉に飛び出す。


「わわわ!」

圭介の箒が暴走。


「社長!そっちは危険です!」

メリッサが追いかける。


「キャー!」

「うわー!」

続々と選手たちが落下。


「ご安心を」

トウメイが現れる。

「全員、幽霊化魔法で守られてます!」


「それは言っておいてよ!」


次の種目は大玉ころがし...のはずが。


「スライムボール!?」

圭介が絶叫。


「ぷにぷに〜」

分裂しながら転がるスライムの群れ。


「追いかけて〜!」

「逃げないで〜!」

社員たちが必死に追いかける。


そして最後の種目。


「紅白魔力対抗戦!」


「エルフチーム!魔法の矢・乱射!」

「ドワーフチーム!大地の咆哮!」

「魔族チーム!闇の波動!」


「運動会じゃなくなってるー!」

圭介が叫ぶ。


「社長!」

メリッサが圭介の手を取る。

「私たちも!」


「え?」


「せーの!」

「combinational magic!」


二人の魔法が交わり、虹色の光が広場を包む。


...試合は引き分けに終わった。


「みんな、お疲れ様!」

閉会式で圭介が挨拶。

「けが人も出ず...」


「幽霊化のおかげで安全でした!」

トウメイが得意げに。


「来年は地上で普通に...」


「「「来年も空中戦で!」」」

社員たちの声が圧倒的。


「はぁ...」

圭介がため息。


「でも」

メリッサが微笑む。

「みんな楽しそうでした」


「うん」

圭介も笑顔になる。

「これも立派な福利厚生かな」


「社長〜!打ち上げはゴブリン居酒屋で!」

レオが呼びかける。


「おう!」


「お供します」

メリッサも珍しく柔らかな表情。


「あ、幽霊も飲めますよ!」

トウメイが壁から顔を出す。


異世界の運動会は、想定外の盛り上がりを見せたのだった。

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