死んでしまったと思った親友をめぐるゾクゾクするお話でした。面白かったです。ありがとうございました。
子供の頃の親友の記憶は、劣化して擦りきれるビデオテープのよう。ただ擦りきれ劣化するからこそ、それを補うために、新しい記憶を補完する。デジタル化された現在では、起こり得ない世界観。 古代中国では、枯れた夏草から蛍が生まれるとされた。蛍の光は、生の光でもあり死をも感じさせる。
主人公の後悔の内容がかなり重いものです。本当に50年間、誰もが想像できないぐらいの苦しみを抱えながら、必死で生きてきたのだと感じました。なのに‥‥なのに‥‥そうきたか! という驚きの連続。そして最後まで一気に読者を引きつける展開が待っています。人物の描写にも注目です。他の方もおっしゃっていますが、これは皆さんに読んでいただきたいなと思える作品です。
今まさに読みたい短編に出会うことができ、ゾクゾクしています。主人公の心の機微がひたひたと伝わってきます。特筆すべきはラスト一ページの描写。ここでは語りませんが、人の業を考えさせられる読後感は『羅生門』を彷彿とさせます。是非にと周りにお勧めしたくなる作品です。
非情に心理描写を中心に丁重に書かれた作品です。罪悪感、後悔をメインテーマに掲げ、主人公がそれを背負って生きていく様子が描かれています。情景描写、キャラクター設定も素晴らしく、物語に奥行きを作っています。そしてなんと言っても、意図的に曖昧に表現されたエンディングです!これにより読み手によってエンディングがいかようにも解釈できるのが素晴らしい。作者の力量が伺えます。これぞ小説!と言った所で、全ての読者様におすすめです!
親友を死なせてしまった後悔に駆られる主人公。後悔を抱えたまま半世紀が過ぎ、予想外の事実が明らかになります。その時、主人公が取った行動と芽生えた感情とは……
読了後にしばらく、唸り声を上げ続ける自分がそこにいました。このお話は人の心と思考が生み出してしまう負の連鎖と怨嗟を物語っていると思いました。その行動の動機は声に出さなければ本人にしか認識されず、伝えないことで生まれる負の出来事が結果として関係者を地の底に落とす……。個人的に、本文(3/3)の一段落目でグッと引き込まれました。この文が、既に狂ってしまった彼の人生に巨大な釘を打ち付けたな、と感じています。
過去に親友を見殺しにしてしまったと思い半世紀以上後悔の念を抱いたまま生き続けてきた主人公は、毎年因縁の場所に足を運ぶのですが、何年もたったその時、衝撃の事実を知ることになります。「後悔流し」に込められた意味もすごいと思いました。
親友を自分のせいで死なせてしまったと後悔している主人公の気持ちが痛いほど伝わってくる、切なくて悲しい物語だなぁと思って読み進めて、後半の真相でヒェ…となりました。最後、主人公が今までの人生でずっと苛まれてきた後悔とは別の後悔をし始めるのが更に私をヒェ…とさせました。素敵な作品を読ませていただきました。ありがとうございました。
読み始めてすぐに物語世界に引き込まれてしまいます……そう、まるで主人公が見た光景を同じ目線で見ているかのように……そして、明かされるラストには圧巻です!是非読んであなたの目で確かめてみませんか?
洋画の様な派手さはないものの、ストーリーと俳優の台詞回しで魅せる、上質な邦画の様な感覚が味わえます。