16.

「⋯⋯ど、どうしたの」


隠しきれてない上擦った声で訊ねる。

何か物言いたげな我が子は、じっと姫宮のことを見つめてくる。

やはり、姫宮の読み方が下手だと言いたいのだろうか。

自覚はしていても、実の息子に言われるとくるものがある。

そう訊ねようにも躊躇っていると、不意に絵本を取った。

えっと思ったのも束の間、大河はそれを姫宮に押しつけるような行動をしだした。


この行動、内緒で大河の誕生日プレゼントを作っている時、急に大河がやってきて、二人きりになった際にベッド上にあるハニワ達のことでしたのと同じ行動だ。

あの時は、ハニワ達は姫宮のだから持っていかないという意味だったが、今はそれとは違う。

今の今まで読み聞かせをしていた。とすると、大河が言いたいのは⋯⋯。


「⋯⋯また読んで欲しいの?」


違うかもしれない、といったおずおずとした口調で訊いた。

すると、元々大きな瞳をさらに開き、きらりと光らせた大河はうんうんと大きく頷いて、ぐっとさらに強く押しつけてくる。


「わ、分かったから、読むから」


あわあわしながらも改めて受け取った姫宮は、再び開いた絵本に視線を向けた大河を一瞥した後、再読し始めた。

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