第4話 学園の門

 夕食は四人で食べた。

 明日からは学園なので今日は早めに寝ることにする。

 そんな話を夕食時にしたら、「お子様だねぇ」と先輩方に笑われてしまった。

 夕食はお腹がポップコーンで膨れていたが美味しかった。

 夕食を終えて、部屋に帰り、部屋でお風呂の準備をして、浴場に向かう。

 体を流し、湯船に浸かり、外出の疲れを癒す。

 入浴は最高の文化だと思う。

 ともあれ、のぼせそうだったので湯船から出る。

 体を拭き、髪をドライヤーで乾かす。

 パジャマに着替え、帰宅する。

 ベッドに寝っ転がり、タブレットでSNSを開く。

 眠くなるまでフリックをし続ける。

 寝れらるなっと思った時にスリープにして俺も寝る。


 朝、けたたましい音が鳴り響く。

 うるさいな、と目を覚まし、体を起こすと枕の横にスマホがあって、アラームが鳴っていた。

 そういえば、昨日、今日は大事な日ということもあってアラームを設定していたのであった。

 この寮の壁の防音は良いはずなのでそっちは大丈夫だろう。

 とりあえず、アラームを切る。

 あくびをして、ベッドから降りる。

 クローゼットから制服を出して、服に腕を通す。

 カバンを持って、朝食を食べに行く。

 食堂で三人に会う。

 ご飯を取りに行って、高松先輩の隣に座る。

「今日は制服をもう着ているんですね。」

「もう!学校行く日ぐらいはちゃんと朝から制服着るよ。」

「後輩くん、美桜をいじめちゃダメだよ。」

「そうそう、女の子をいじめるのはダメだぞ。」

「はーい。」

 そんなに時間があるわけでも無いので、黙々と食べる。

 そんな俺を不思議そうな目でみんなが見てくる。

「後輩くん、なんでそんなに黙々と食べているの?まだまだ時間はあるよね。」

 時計を見るだけだとそう思うだろう。

 でも、俺は学園の中のこととかも知りたいのでそれも考えたらこの時間に出たいのである。

「もしかして、後輩くん。学校見て行きたいの?」

「そうですね。人気の少ない、ゆっくりできる場所を探したいなぁと思って。」

「じゃあ、一緒に行こうよ。私、生徒会長だから色々知っているよ。」

「でも先輩結構ご飯残っていますけど。一緒に出られるんですか?」

「ちょっと待ってて。」

 そう言うとバクバクっとご飯を口に入れていく。

 まさにブラックホールだ。

 すぐにご飯を食べ切り、荷物を取りに行ってしまった。

 はぁ、とため息ひとつ、ついてしまった。

 ふふふ、と神戸先輩に笑われてしまった。

「なんですか?先輩。」

「いや、ね。ふたりともたのしそうだなぁ、と思ったんだよ。それに美桜は今まで仕事で忙しくしていたからね。誰かとあんなに可愛くなついていたのが嬉しくって。」

「懐いていましたか?あれが?そうは見えませんでしたけど。」

「いやいや、私たちから見たらあれは尻尾ブンブン振り撒いていたけどね。」

 尻尾?

 犬の感じなんかなんだろうか?

「ごめんねぇ。お待たせ。」

 高松先輩がやってきた。

 背中には小さめのリュックサックを背負っている。

 そんな準備で大丈夫か?

「大丈夫だ、問題ない。なんちゃって?」

 心読まないでください。

「行きますか。」

「そうだね。」

「いってらっしゃーい。」

 二人で、玄関から出る。

 この時間に出る人はなかなかいない。

 やっぱり普通の人からしてみれば早い時間なのかもしれない。

 学園は徒歩数分で寮から直通の道が開設されている。

 学園の門は荘厳な感じだった。

 レンガ造の門に裏には生垣が伸びている。

 門をくぐって、学園は大きい!

 それが初めに来た感想だった。

 通りから見えていたので大きいのはわかっていたんだが、やっぱりすごい。

 三百人程度の学校にこの規模の学園設備は必要なのかと思うのだが必要と高松先輩が言っていた。

 体育館だけでも複数個ある。

 正確には訓練棟と言うのだがまぁわかりやすい方がいいだろう。

 誰に言っているわけでもないのだが。

 校舎に入って校内を練り歩く。

 まずは生徒会室へ向かった。

「ここが生徒会室だよ。私が仕事をしているところだね。私の手伝いをしてくれるんだったら、ここにいてもいいよ。他の子達には私から言っておくからね。」

「そんな約束してもいいんですか?」

「いいんだよ。私がトップなんだからね。」

 そんな調子で部屋の説明を始める。

 次に訪れたのは南棟四階の視聴覚室前の空間だった。

「ここはね、視聴覚室前なのですよ。」

「まぁ、上にそう書いてありますからね。」

「ここは、滅多に使わないからこの辺は人が全然いないよ。たまにガラの悪い子がたむろっているけど。まぁ、君なら大丈夫かな?」

 ふと、俺の目を見てそんなことを言う。

「何をもって、そんなことを言うんですか?そんなに強そうですか?」

「うん、強そうだし、言葉巧みに人を惑わせていそうだしね。」

「惑わせているってちょっと失礼ですね。」

「ごめんね。」

 次が最後だよ、と言われて連れて行かれたのは屋上だった。

 屋上といえば学園青春の舞台ではなかろうか?

「ここもね、滅多に人がいないんだよ。なぜなら、屋外渡り廊下の方でみんな仲良くしているからね。だからこっちには人が来ないんだよね。だって、わざわざ階段五階分も登りたくないでしょ。人によっては寮でも歩きまくっているのに。」

「確かにそうですね。何かしら目的がないとこっちには来ないでしょうね。」

「でしょ!」

 各場所で先輩と話し込んでしまっていたので朝早く出た優位性が完全に無くなってしまった。

 でも、まぁ、俺の目的は達成されているのでこれで良しなのだろう。

 そんな時、屋上の扉がバンっと開けられた。

「あー、居た。やっぱりここでしたか。」

「あら、宗馬くん。どうしたの?あ、後輩くん。この子は津師宗馬くん。うちの生徒会の書記なんだよ。超優秀だよ。」

「ありがとうございます。っじゃなくて。」

「先輩、何か話があるようなので聞いた方がいいんじゃないんですか?」

「確かに。」

「ありがとう、後輩?くん。」

「ああ、この子は松江雪菜くん。私たちの後輩で、もしかすると生徒会のお手伝いをしてくれるかもしれない子。」

「それは大変だ。津師宗馬だ。僕もこれからよろしく頼む。っじゃなくて、会長。入学式が始まります。急いでください。松江くんも新入生なら遅れないように急げよ。」

「はーい。」

「はい。わかりました。」

 そんなこんなで高松先輩は連れて行かれた。

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