第37話 vs olive2
(こっちに近づいてる・・・?)
ラックは拳銃からナイフに持ち替えネックマスクを着けドアの側で待機する。
開いた瞬間に仕留める為である。
何故なら三階以上に一般客が今は居ないからである。
このビルはイクシードが貸切にしているため、上階へはその関係者しかいないはず。
よってイクシード側の人物であることは間違い無い。
(・・・ま、最悪情報を聞き出し眠ってもらうだけでも良いが・・・ん?)
外を歩いていた人物はトイレの中に入ることはなく近くを通り過ぎただけであった。
だがラックはとりあえず誰かを見定めるべくドアを開いて外を覗く。
カメラは止められてる為、その死角は気にせずに顔を出す。
音を出さないように慎重に外へ出て先程の人物を確認する。
するとそこに居たのは衝撃的な人物であった。
(・・・おい、何でここにオリーブが・・・?)
流石のラックも目を見開き動きが止まってしまった。
視界に入った人物は2メートル越えで肩幅も広い特徴的な姿があった。
まさしくオリーブである。
しかし直ぐ様冷静になりジェシー達に確認を取る。
囁き声で無線を繋ぐ。
「こちらラック、目の前にオリーブがいる。アイツは本物か?確認してほしい。どうぞ」
「こちらジェシー、かしこまりました。上のサブホールのカメラを確認します。・・・確認したところ、上にはターゲットは居ません。もしかしたらそこにいるのが本物なのかもしれません。どうぞ」
「オーケー、早速出くわしたか。何でここにいるか分からないが、随時カメラを確認して怪しいことがあれば俺に連絡を。それと一応確認だが上の階に警備はどのくらいいる?」
「そうですね。確認できる範囲では凡そ40以上はいるかと。上に固められているようですね。どうぞ」
「やっぱりか。ありがとう。それじゃあ無線を切るぞ。以上だ」
(今がチャンスか・・・何か怪しいが行くか)
そう言ってラックは動き出した。
周囲を警戒しながら拳銃に切り替えターゲットに近付いていく。
狭い廊下を忍び足で進み距離を詰めていく。
するとオリーブは途中のドアの中へ入っていくのを確認した。
(ん、あの部屋は・・・?)
恐る恐る近くづき確認すると、そこはスタッフ専用の更衣室であった。
それも女性用の。
(おいおい、オリーブ。お前そんなキャラだったか?)
ラックはドン引きでドアの前で止まってしまった。
しかし銃口をドアノブの近くに向けながらドアに耳を当て中を確認する。
流石に普通は更衣室にカメラはない為、ジェシー達の協力は望めない。
意識を集中させ中を確認するが全く気配がない。
そこでラックは違和感を覚えた。
(・・・おかしい。この階に人がいなさすぎるし、オリーブを一人になんてしないはずだ。やっぱりこれは完全に俺を誘い出してるな・・・)
それが確認できラックはゆっくりとドアから離れる。
気づかれないようにそっと・・・
するとそれに合わせてか足音が廊下から聞こえてきた。
それも両サイドから挟まれる形であった。
しかし明らかに罠であることを分かっているラックは決断を迫られていた。
(しくじった。単純過ぎる罠に引っかかってしまった。恐らく足音も俺を中に入れるために聞こえるように歩いたな。・・・カメラの目は俺達が奪ったが、その上で俺の移動経路を予測しやがったな。クソ、逃げ場がないぞ・・・)
ここで取る選択肢は更衣室の中に入り上手くやり過ごすか、廊下の敵を葬りやり過ごすかの2択である。
もちろんターゲットが目の前にいる為、入るのが一番ではあるが、明らかに出待ちしている。
それを感じ周囲を確認する。
他の策は無いかを考える。
とは言え廊下には別のドアが殆ど無く、あるのは隣の男子更衣室だけであった。
(・・・カメラは今、俺達しか見えていないはず。なら・・・)
よってラックは隣の男子更衣室へ静かに入った。
相手に動きが悟られないように。
しかし入った時には既に遅かったようで、こっちこそが本当の罠だということに気が付いてしまった。
何故ならそこには椅子に座ったオリーブがいたからだ。
「久しぶりだな。ラック・・・」
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