第16話 meeting2
「どうして?そんなのダメよ。リスクが大き過ぎるわ。いい?これは貴方や私達だけじゃなく、彼等の為を思って言ってるのよ?これ以上私達に関われば危険に晒される可能性だって出てくる。一般人を巻き込まないのがモットーでしょ?」
サリーはまた熱くなりズカズカとラックに言う。
しかしこの発言はサリーが正しく、むしろラックは間違っていた。
そしてそれは本人も分かっていた為、直ぐには返答が出来なかった。
ただ少しラックは黙り思考する。
「・・・・・・」
「ま、まあ、サリーも落ち着いて。僕はわからないけど、ラックには考えがあるんだろ。なあ?」
アーノルドはこの場を落ち着かせる為に中立の立場を取る。
しかしアーノルドも聞いた感じラックよりサリー側だった。
だからこそ、ちゃんとした答えが欲しかった。
「・・・俺はもとより単独だ。別にお前にどうこう言われる筋合いわない。俺は俺のやり方でやる、それだけだ」
「・・・貴方、良い加減にして。そんな子供じみた言い分で私が納得するとでも?もし貴方が止まらないとしても私達が取引を受けなかったら貴方達にお金は入らないのよ?」
「なら客を探せばいい。自分の会社は自分でどうにかするさ」
ラックは頑固にも辞める気が無かった。
真剣な表情でサリー達を見つめ、意志の固さを表明していた。
それをサリーは負けじと見つめ返す。
しかし、次第に押し負けて譲歩する。
「・・・はぁ、わかったわよ。貴方の仕事は貴方に任せる。でも取引は私達だけにすることを約束してちょうだい。それとやるなら影に隠れてお願いね」
「ああ、わかってるよ。最善は尽くす。理解してくれて助かるよ」
ラックはいつも通りの笑顔を取り戻し、優しそうにサリーに笑う。
それを見て二人は安堵する。
「・・・まあそれに私達には貴方が必要だから身内同士で争う意味はないしね。でも本当に気を付けてよね」
「わかってるよ。ちゃんと徹底して目立たないようにする。お前達にもアイツラにも迷惑はかけない」
「ええそれもそうだけど、心配なのは貴方自身にも言ってるのよ?」
「あ?」
「貴方は唯一弱点がないんだから、今後それが出来てしまえば必ず足枷になるはず。そしたら無敵な貴方でも戦えなくなるでしょ?」
「フッ、馬鹿言うなよ。俺に弱点なんてないし、今後もないね」
「・・・そうだと良いわね」
「?」
ラックは未だに理解できていないように困惑していた。
しかしサリー、そしてアーノルドも不安に思っていたが表には出さないように流す。
「とりあえず大まかな話は聞けた理由だけど、ここからは代表としてアーノルドと一対一で話していいかしら?」
「・・・わかった。また後でイクシードの幹部の事とかは話したいから終わるまで外で待っとくよ」
「ええ、ありがとう」
ラックは立ち上がり部屋の外へ向かった。
その背中を見届け、完全に外に出て二人きりになった事を確認してサリーは口を開く。
「それじゃあアーノルド、少しだけ話しましょ」
「・・・ああ、そうだな」
少し緊張感はあったが、さっき迄のサリーのピリつきはなく、何処か雑談に近い雰囲気が漂っていた。
そうして暫くは昔話が続いた。
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