第21話



———実は今、ちょっと困った事が起きている。



きっかけはアズマさんの言葉だったけど、そもそもの元凶?は俺であるらしいので甘んじて皆からの責苦に耐えている。


…いや、本当に知らなかったんです!


お酒を仕込んだ樽で、そのまま数年寝かせとけば寝かせた年月だけ美味しくなるのを、まさか皆が知らないなんて!!



お酒造りの常識じゃん!?



アズマさんが行商に出るって言うんで、皆でこぞってそれ用の品を持ち寄って集まっていた時の事である。


勿論、俺らも売れそうなものをかき集めて持っていくじゃ無いですか。


特にお酒はさぁ、流石に初めての行商に行く子供達には持たせられなくて、大量に家にあった訳で。


いや、別に内緒にしてた訳じゃあ無いんですよ。ホントダヨ。


でもソコで、村人達にとっては“新事実”が発覚してしまった訳で。



各々の家で作ったであろうお酒もまた、その商品として細々と提出されている中で。俺は前前世の癖で、それぞれの年で大量に樽で仕込んでいた事を誰も知らなかった事が1つ。


作り方と、仕込んで数ヶ月位の最低限お酒と称せるサンプルを1つ、提出して満足した俺が、肝心の“寝かせる”製法についての伝授をしてなかったのが1つ。


…正直、“えっ、知らなかったの!?”って言う心境なのは…この空気では決して言い出せる雰囲気ではなかった。


俺の中での常識は、通用しなかったのである…。


お酒は実は、試行錯誤が出来て、色々なフレーバーが作り出せる事などなどね…。


基本のお酒造りさえ教えとけば、皆後は勝手に色々やるだろう位にしか思ってなかった俺が居る…調味料の時もそんな感じだったし。


ごめんなさい、ごめんなさい!


深く反省しておりますっ!!


…特に、うちの村の女衆が大層ご立腹であったのがね!


男性陣はどちらかと言うと、酔えれば良し!な大雑把さで、特に問題無しだったんだけど。


女性陣は味の違いのわかる、大層なお酒好きが多かった事がソコで判明してですね。


「オラオラオラ!全部出しな!!」


って、山賊か何かの類ですか!?って責めを頂きまして…あ、いえ、何でもありません!

はい、只今全てを用意させて頂きますです!


仕込んだ全種類の樽の提出を求められた。

…まあ、この状況で逆らえ無いよね。諦め。

(↑全種類は提出したけど、全樽とは言って無い)


そんなこんなで只今村人総出で大宴会中です。


勿論お酒は全て、俺の提供?した樽酒でした。


料理は各自の持ち寄りで。


俺?

お酒は提出したのに、未だ許されずずっと正座させられっぱなしですが、何か❔


男性陣からは、憐れみの視線が突き刺さっていましたが、誰も助けてくれませんでした。


…一応、視線でヘルプを懇願してみたんだけど。


無理無理、と首を横に振られただけで終了。世知辛いぃ。


…まあ、俺が逆の立場だったらそうするので、何にも言えませんでしたけど。


アズマさんと1兄は、馬鹿だなぁって目で一瞥した後は、自分たちの分を早々に確保して出発済みです。相変わらずの、薄情さだよ。




———リースだけが、俺の癒し!!


実は、ずっと傍に居てくれてたからね。説教中もだよ!


そんなにお酒も嗜ま無い彼女は、始終慰めるように背中を摩っててくれました…女神?



因みに。

これ用に大量に提出させられた所為で、大した数のお酒を販路に載せる事ができなかった俺が居ます。



…まあ、代わりに。


前前世で仕込んであったお酒の場所を、全部吐きました。



…あれから何年経ってるのかとか。


あの国の位置とかはここからじゃもう、分かんないからね。


今更、行く気もさらさら無いし。


それなら情報売っちまおうってなった訳です。



あの組織が解散する数年前からは、皆とはちょっと離れて活動してたので。


場所は4の兄が用意してくれたんで、ソコで“ナンバーズ”以外の子達と楽しく生産活動に励んでいました。


…その頃の組織はちょっと複雑化してて、家は居心地悪かったからなぁ。


下への面倒見が良かった4の兄ぃが、組織とは別に拠点を転々と各地に作ってくれていて。

俺たちはそこに逃げ込んでたんだよねぇ、一時的にって名目で。


だから、アズマさん達も知らない場所に、大量にお酒が眠っていたりするのですよ。

ふっふっふ〜。


その拠点を全部、昔の地図を参照してチェック入れました。


拠点は全て、地下にあったので。


今もまだ、残っている可能性が高いと思います!


…その報告をした時のアズマさんの顔がもうねぇ…獰猛過ぎたわぁ…。


正直超、怖かったです。


1兄は、相変わらず。


あの顔で良く、ときめけるよね?って言う。



…取り敢えず、めっちゃお金にはなったんで、旅用の幌馬車を注文。


家族で行くなら、絶対屋根は必須だしね。


そのままじゃ色々不便なんで、勿論色々改造はするけれど、平民が乗ってても不自然でない見た目は必要だからね。


馬車はさぁ、もうちょっと立派な人が乗るものだからなぁー。


例えば、それこそ行商の商人とか、人を乗せるのを生業にした商売(辻馬車)もあるけど、これは御者によりピンキリだし。(これだと時には、犯罪に巻き込まれる事もしばしばなんだよな)


お貴族様の馬車は、そもそももっと造りが違うしね。


俺らが乗るなら幌馬車が一番、無難なんだよね。


馬は幸い、アズマさん達が貸してくれるらしいから注文しなかったよ。


———馬の食費ってかなりかかっちゃうから、そこは助かるよねぇー。


その代わり、酒の仕込みはこれからも続ける様に言われちゃったけど。


それはまあ、いつものことなんで、特に問題無いかな。


取り敢えず!


あの2人が帰って来るまでに、色々準備しなくっちゃね!!


あー、楽しみだなぁ〜〜。家族旅行ぅ〜〜。
























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