第20話 ランドール傭兵団
4人で話をしていると鎧を着た人たちがずらずらと洞窟の奥から出てきた。
「あれはこの国でよく活躍しているランドール傭兵団ですよ。
あの先頭にいるのが団長のランドール、魔族ミラの討伐で活躍した勇者パーティの中で剣士として参加してた人だよ」
こんな時にまた勇者パーティの一人に会えるとは思えなかった。
ランドールの盾が母の魔法での攻撃を防いだのを今でも覚えている。
「彼の持っている盾や鎧、剣は魔法が聞かないヒヒロガネというアンチマジック素材でできているの。
あらゆる魔法を使う魔物や魔族に立ち向かいうち滅ぼしたと聞いているよ」
またもシズクが詳しく教えてくれた。傭兵団はたくさんの何かしら入った袋を運んでいる。
「お疲れ様です。ランドール様」
「ああ、シズクちゃんお疲れさん。こんなに深くまで来るなんて珍しいね」
「ちょっと予期せぬトラブルがありましてですね。そちらは今回何のためにここまでいらしたのですか?」
「魔石の採掘だよ。特に今回は火の魔石と土の魔石が多く必要だということでね」
「そんなことも傭兵団なんかが行うのですか」
疑問に思っていたことを口にしていた。
「魔石はこの階層より下で採掘されるからね。
ある程度ギルドに認められるくらい強くないといけないんだ。
まあ他にも条件はあるけど。君たちはここの遭難者ってことでいいんだよね。
地上まで送ってあげようか」
「ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします」
「団長、ファイア・ウルフの群れがこちらに向かってきています」
4階層から来たのだろう。前方からブルーファイア・ウルフが数匹、ファイア・ウルフが数十匹こちらに向かってきた。
「全員水場の方へ移動してくれ」
傭兵団も私たち四人も膝まで水がつかるくらい水場の浅瀬の方へ移動していた。
ファイア・ウルフは一匹も近寄らなくなったが、一体だけブルーファイア・ウルフがこちらへ向かってきた。
水が蒸発し蒸気を飛ばしながらこちらへ向かってくる。
ランドールが前に出てきて、それに合わせてブルーファイア・ウルフが噛みついてきたが、それを盾でふさがれた。
その時ブルーファイア・ウルフの顔の青い炎がなくなっていた。
「私の盾、鎧、剣があればお前らなんか恐れるにあらず」
次の瞬間彼の剣が腹を突き刺した。
刺した部分から徐々に青い炎が消えていき、そのまま倒れた。
他のファイア・ウルフはそれを目の当たりにし、自分たちは勝てないと悟ったのか、洞窟の奥の方6階層へと消えていった。
「そこの子供たち、ここは危険な場所だから十分力を付けてからくるように」
魔法の効果をなくすのは本当だったのか。
ファイア・ウルフの魔法でできた炎が無効だったように、魔法を扱う魔物や魔族にはかなりの脅威だろう。
頭の中で考えていると、ファイア・ウルフの群れが逃げていく足音が聞こえなくなった。
さっきまで騒がしかったのに、いきなり聞こえなくなり静寂となるのが、異常に感じ、危険を感じ、振り返った。
そこには石化したファイア・ウルフたちとでかい蛇のような胴体に顔は龍のような形をしていた。
「バジリスク、なぜこの階層に」
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