夢の戦闘 その1
あれから一週間が経過し、ユメはソージが施設からいなくなったため人を不幸にする遊びが出来なくなりストレスを抱えていた。
憂さ晴らしに倉庫で監禁しているタケルをいびり倒していた。
「犬、食事の時間よ。」
「ワンワン。」
タケルはユメから毎晩、自分が犬だというユメを見せられて本当の犬だと思わされている。
「ふふ、犬食いも様になってきたわね。」
それを見てユメはタケルの胴体を蹴りあげる。
最早、タケルにこの施設では人権はなかった。
「ユメ様 僕達もこいつと遊んで良いですか?」
ほかの児童達もタケルを蹴りあげて日頃の鬱憤をはらす。
「あー、最高。あの威張ってったタケルがこんな惨めな姿になってるなんてな。」
児童達はタケルに過激な暴行を加える。
「クーン、クーン。」
タケルの悲痛な鳴き声に更に大笑いするユメと児童たち。
この施設はユメが政権を握る国家的なものになっていた。
一方、ソージ達は東京から離れた地方の田舎でユメと戦うべく、夢の特訓をしていた。
「うーん、夢耐性のやり方がうまくいかないなぁ。」
「ウチがもっと呼吸をあわせないと。」
「いや、俺が夢の共有するわけだから、足を引っ張ってるの俺だとおもう。」
ジュンコはそんなソージ達に夏野菜のカレーを作る。
「みんな、昼ご飯よ。」
真っ先に飛びついたのはユートだった。
「お、待ってました。」
「慌てるなよユート。」
「そうよ、ウチらのご飯は逃げていかないわよ。」
そんな、彼らをみてジュンコはクスっと笑う。
「ここは平和ね。」
そして、真顔になりジュンコは施設の心配をする。
「今頃施設はどうなってるのかしら?」
ソージとユートも不安になってきた。
重たい雰囲気にマイコは空気を変える。
「みんな、今はそんな事考えないで食べましょう。」
ソージもそれに続いた。
「そうだな。」
「ごめんね、私が変なこときにしちゃって。」
ユートはそれに続いた。
「いや、先生は悪くないぜ。まあ、食べようぜ。いただきます。」
ユートはカレーにがっつく。
「うめー。」
「本当だ。」
うん、すごく美味しい。ウチも料理うまくできたらな。」
ジュンコは照れくさそうにお礼をする。
「そんなほめないで。でも、ありがとう。」
食後の昼寝の時間。
…と言っても、休むわけではない。
夢の中で訓練の時間になる。
ソージは夢共有を使い、マイコの夢にユートを呼ぶ。
「すげぇ、ここがマイコの夢の中…お花畑だ。」
「関心してる場合じゃないぞ。」
ソージはユートの気を引き締める。
ユメの戦いを想定してマイコは、自分の夢の中にユメを登場させる。
「ウチのユメのイメージだから実戦ではどのように動いてくるか分からないけど。」
模擬戦が始まる。
ユメが、操作の操作で自分達を縛り上げた状態にした。
ここからそう動くかである。
当然このシミュレーションでは動くことは可能である。
「ユメだったらこのまま俺たちを空中に浮かして地面に落下させるとか?」
「なるほど、そこで俺の出番ってわけだ?}
ユートはまだうまく使いこなせない夢耐性の能力を使う。
「ソージさん、ウチの夢を共有してあたかもユメが操作してるようにしてね」
「わかった。」
そして、ソージ達は空に浮かぶ。
地面に落下する瞬間にユートが夢耐性を使うはずがミスしてしまう。
「あ、ごめん。」
そのまま地面に落下してしまい相当なダメージをくらってしまった。
「もっと、ちゃんとしてくれよ。」
ソージは焦りからユートを責める。
それに対しユートは言い返す。
「誰のためにやってると想ってんだよ。よく考えたら俺だけ助かればいいじゃん。パスしようかな。」
ユートは紛れもなくユメとの戦いの要なくすわけにはいかない。
「ちょっと二人ともケンカしないでよ。ウチ達が人類を救うかもしれない戦いなんだから。」
マイコの言葉に二人は手を取り合いお互い謝る。
「ごめん、焦っていた。」
「俺こそ自分だけ助かろうなんて言って…。」
マイコは続ける。
「ウチらはチーム。共に手を取り合ってユメを止めないと。」
「だな。」
「おう。」
そして、昼寝の時間が終わりユメから覚める三人にジュンコはスポーツドリンクを手渡す。
「三人とも汗がすごい。そんなに夢の中での訓練は体力を消耗するのね。」
「そうみたいです。」
ソージが答える。
「ウチ、シャワー浴びたい。」
「そう思ってお風呂わかしてあるわよ。」
「さすが、ジュンコ先生気がきく。じゃあ、早速。」
ジュンコはユートのシャツを引っ張る。
「女の子のほうが先。行きましょうマイコちゃん。」
「はい、先生。あ、覗いちゃダメだからね。」
「誰が覗くか。」
ユートはふてくされて少し怒鳴り口調で言い返す。
「お雨はお子さまだな。」
ソージまでもがユートをからかう。
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