夢見る少年 その2
消灯時間になりソージとユメは寝ることにした。
だが、ソージは興奮してるせいか、なかなか眠りにつけない。
ごそごそと一号室から物音がきこえる。
ユメは気になりソージに聞く。
「兄さん何をしているの?}
「あ、いやなんでも…。」
ユメは不信感にさいなまれソージに聞く。
「まさかとは思うけど変なことしてないわよね?」
「え、変なことって?」
「ほら、その…。」
ユメは言葉を詰まらせる。
「え、何ユメ?」
「一人エッチよ。バカ。」
「してないよそんなの。」
ソージは思わず大声をだす。
「本当に?」
「うん、本当に。」
ソージは布団をずらしていただけであった。
興奮も治まったころソージは夢の中へ。
これは夢である現実ではない。
そこは中世ヨーロッパ…。
魔女狩りが実行されてた時代である。
公開処刑のまっただ中ユメはは牢獄から出された。
ソージは直ぐに状況を把握した。
「何世紀のヨーロッパだよここは?」
公共の面前でユメはは公開処刑される。
ギロチンまでもが用意されていた。
「魔女ユメお前は悪魔と交わったか?」
裁判官がユメを尋問する。
そして裁判官が刺すと刃が引っ込む仕組みのナイフをユメに突き刺す。。
処刑されるのはどうやらユメみたいだ。
ソージは錯覚によく似た感覚にさいなまれていた。
「夢の中かここは?」
「ソージ氏、君は妹をどう思うのだね?」
質問はソージに投げかけられた。
ソージは突然の問いに戸惑ったがが、数枚の金貨とナイフを見せつけられユメを裏切る。
「彼女は魔女に違いありません。悪魔と混じりあっていたのも見ました」
そしてこの瞬間、夢の操作が始まる。
ユメは状況を置き換え死刑されるのをソージに変えた。
「え…ちょっと…え?」
「悪魔の手先ソージよお前はユメを殺した罪でギロチンの刑に処す。」
裁判官は所長のハルマに変わっており、ユメがどこにも見あたらない。
「俺はまだ死にたくない。そうだ悪のは全てユメなんだ。」
この言葉はユメの逆鱗に触れた。
「やっぱり裏切るんだ?」
ユメが悲しそうにゆっくり近寄ってくる。
ソージは手を縛られギロチンに首を通されていた。
さっきと場面が違う。
公開処刑の場じゃなく暗い部屋に入れられておりユメと二人きっりだ。
「じゃあね兄さん。」
ユメはギロチンのロープを切り、刃がソージの首に落ちてきて首を切り落とした。
ユメは転げ落ちたソージの生首を拾い上げて微笑しソージに質問する。
「ふふ、兄さんどんな気分?」
「とても怖い気分。」
ソージは大粒の涙を流した。
「兄さん、あたし凄く遠い過去に兄さんに裏切られた気がするの。これはその仕返しよ。」
ユメは前世の忌々しい記憶のビジョンをソージに見せる。
それはユメが死刑でギロチンにかけられる週間だ。
「兄さん、兄さん、助けて兄さん。」
ユメは死ぬ間際まで「兄さん助けて」と連呼していた。
ソージはユメが「兄さん」と呼ぶ人物の顔を見て驚愕する。
自分にうり二つだったからだ。
今のソージがユメに聞く。
「昔の兄さんとあたしだよ。
ユメは悲しげである。
「もう、裏切らないって約束してくれる?」
「約束する。だから助けてくれ。」
ユメはソージの生首を地面にたたき落として大笑いしたかとおもうと、今度はすごい剣幕でソージの生首を蹴り飛ばし大声を張り上げる。
「誰が許すかバーカ。」
そしておもむろに巨大なハンマーを振りかざしてソージの生首めがけて振り落とす。
「やめてくれ…。」
ソージの一言はかき消され、ドンとハンマーが地面を打ちつける。
ユメは潰れてぺったんこになっているソージに対し悲しそうに囁く。
「兄さん、あたしまだ憎しみはあるからね現実の世界でたっぷりと兄さんの人生を不幸のどん底にしてあげるから。」
そして高らかに反り返りユメは笑う。
「あははははははは。」
ソージの運命は着実にユメの手の中で踊らされていくこ事となる。
現実に戻ろうか。
「うあー。」
ソージは汗だくで起きあがる。
「夢か…。」
ソージは考え込む何でこんな怖い夢を見たのだろうかと。
「兄さんおはよう。」
ユメが隣の部屋からなにくわぬ顔で挨拶をしてきた。
「おはよう。」
ソージは怯えた様子で挨拶を返す。
ユメは怪しくクスクス笑っていた。
昨日の女性職員が食事を持ってきた。
反省質の鍵を開けて二人に朝食を手渡す。
「おはよう二人とも。」
「おはようございます。」
ユメは元気に笑顔で返すのに対し、ソージは暗い顔で挨拶を返す。
「おはようございます。」
いつも元気よく挨拶するソージをみて女性職員は聞く。
「ソージ君どうしたの。どっか具合でも悪いの?」
「いえ、ちょっと怖い夢をみて。」
ソージはユメをチラ見する。
そんなソージにかまわずユメは朝食を受け取ると二号室に入り朝食を食べ始める。
「気分が悪いなら学校を休みなさいよ。」
「いえ、大丈夫です。」
ソージも食事を受け取り一号室に吐いていく。
女性職員は鍵を閉めて心配そうに首を傾げながら独り言を呟き本館へと歩いていった。
「ユメちゃんと何かあったのかしら?」
食堂では児童達がソージの事を噂していた。
「ねえ、ソージとユメが反省室だってね。」
「何でもソージが所長を殴ったらしいよ。」
しかし、それを面白く思わない人物がいた。
「おい、その話二度とすんじゃねぇぞ。」
噂していた児童のイスを蹴り脅すように言う。
その人物はユートだ。
ユートはソージとユメが一緒に反省質に入れられたのが許せないでいた。
それはユートのイジメ相手がいなくなったのと、張り合いあう相手がいなくなったのが気にくわなかったのだ。
裏を返せばユートはソージをライバル視していて、ユメにちょっとだけ片思いしていたのだ。
全ては出会いの時だった。
ユメの初めて見たユートはユメに一目惚れしていたのだ。
この場合ユメがソージと一緒にいるのが気にくわないと言った方がいいだろう。
ユートはイライラしながら食堂をでていきたの児童に八つ当たりする。
弱いものイジメである。
ユメがいたときはユメだけをイジメていたけど今は見境なくいちゃもんを付けては児童達を殴って回る。
そのうちに安堂が飛んできてユートにげんこつをお見舞いし怒鳴る。
「お前は懲りねぇな。いつになったら暴れんをやめるんだ?」
「一生やっめねーよ。」
安堂に食ってかかるユート。
他の男性職員も二人駆けつけユートを取り押さえる。
「離せこのやろう。」
ユートはそのまま反省質送り。
三号室に入れられる事となった。
これはユートにとってありがたいことだった。
隣にユメがいるし、一号室にはソージがいる。
「ユート、また何かしたのか?」
顔を会わせたソージが聞く。
そんなソージに対しユートは無言でソージのみぞうちに拳を叩き込む。
「うぐ…。」
ソージはその場に腹を抱えてしゃがみ込む。
殴り返したかったが職員達がいたためここはグっと堪え殴るのを我慢した。
「コラ、ユート。」
またもや、安堂はユートにげんこつをする。
「すまんな。ソージこいつなんだか機嫌が悪くてな。」
「いえ、いいんです。」
ソージは立ち上がりユートを睨む。
ユートもソージをにらみ返す。
「ほら入れ。」
無理矢理三号室に入れられるユート。
「今日は学校行くのはやめておけよ。」
安堂がユートに言う。
「頼まれたって行くかよ。」
売り言葉に買い言葉。
「ソージ、具合は大丈夫か?」
「問題ないです。」
「学校行けるな?」
「はい。」
安堂はソージの頭を軽く平手でポンポンと二回叩く。
「よし、いい子にしてるんだぞ。そうすれば所長も許して下さるだろう。」
「はい。」
ソージはユメを待っていた。
安堂はユメも反省質からだす。
「ユメ出ろ。」
ユメはソージを見るなり抱きつき、ソージをわざとらしく心配する。
「兄さん大丈夫なの?」
「うん、昨日変なユメ見ちゃって。でも、もう大丈夫だよ。」
「よかった。」
ユメはソージの手を取り仲良さそうに夢ハウスを出て学校に行く。
「いってきます。」
「がんばってこいよ。」
安堂が見送る。
その時安堂の後ろから肩をポンと叩く人物がいた。
「安堂、オッス。」
「タケルか。オッス。」
安堂の職員仲間であるタケルと言う人物。
「ユメは、またソージと一緒か?」
「さっき仲良く学校に行ったぜ。」
「そうか。」
タケルは顔をこわばせる。
「どうした、考え深そうなツラして?}
「いや、何でもにない。」
タケルと言う人物は元ヤクザで安堂とタメを張るぐらいの実力がある。
しかし、滅多に手を出さないが怒ると怖いので児童から怖がられている。
それに付け加え「元ヤクザ」の肩書きも手伝っているため職員からも恐れられている。
タケルはユメの能力を知っていいる唯一の人物である。
それは過去に自分の弟分をユメに殺されているためである。
タケルはその復讐の為に児童福祉の資格をとって夢ハウスの職員になった。
そしてタケルもまた夢操りの能力を持っている。
全てはユメへの復習の為にである。
ソージとユメは途中で別れる。
ソージはバスに乗り高校へと向かう。
そして、ユメは中学校へ行く。
ソージの学校での顔は優等生であり、成績トップのパーフェクトボーイ。
そんなソージの学校の友人たちは全員ガリ勉であり少し女子達が地下好きがたい存在になっているのがたまに傷。
一方ユメはダメな女子中学生で成績もあまり良くはない。
だが、美少女であるため男子には絶賛な人気を誇る。
そんなユメは一番の親友マイコとお昼を屋上で一緒に食べたりとわりかし楽しい学校生活をエンジョイしている。
「ユメは好きな人とかいるの?」
「いない。」
「ウチいるよ。」
「誰々?」
ユメは目をキラキラさせながら興味深く聞く。
マイコは確かに言った。
「ユメのお兄さんだよ。」
「え?」
ユメは予想しえなかった毎kの言葉に心が締め付けられる思いだになった。
そして立ち上がりマイコをほったらかしにしてその場から走り去る。
「そんなの嘘だ。あたし何で泣いてんだろう?」
ユメの頬に涙がつたう。
「ユメ…ごめんなウチ…。」
マイコはユメがおいていった弁当箱を片づけながら呟き謝っていた。
放課後、マイコはユメに弁当箱を手渡す。
「ユメ気にしてる?」
「何が?」
「昼間の事…。」
ユメは席を立ち誤魔化すように無理矢理笑顔を作り本心ではない事を口にする。
「全然気にしてないし。何であたしが気にする必要あるの?」
そんなユメにマイコは少し大きな声をだす。
「無理に笑わないでよ。ユメだってソージさんの事が好きなくせに。」
「はぁ、好きなわけないじゃん。」
鼻でフフンと笑い言葉を返す。
「ユメっていつもそうだよね。親友のウチにも本心を言わないよね?」
「言いたい事はそれだけですか。さようなら。」
ユメはその場を逃げるように立ち去ろうとしたが、マイコに手を捕まれ足止めさせられる。
「ちゃんと話そうよ。これで友情が壊れるのウチ嫌だし。」
「勝手に友達面してんじゃねえよ。このビッチが。」
ユメは本性をのぞかせた。
「それが本性なの?」
「あたしは誰が誰を好きになろうが関係ないんだよね。あたしは人を不幸にする。お前が兄さんと付き合って幸せになったら不幸にしてやる。それだけだ。」
さっきとうってかわってユメは恐ろしい目でマイコを睨む。
その睨みにマイコは恐怖を感じた。
「ユメ怖いよ?」
それ以上は身の危険を感じたマイコは何も言わなかった。
マイコはユメの手を離しその場から立ち去ろうとした。
その時ユメはゆっくり且つ静かな口調でプレッシャーを確実に与えながらマイコに一言。
「そうだ一つ忠告しとく。これ以上兄さんに近づくと死ぬぞ?」
マイコは頷きながらその場を泣く泣く立ち去る。
「ユメ…ウチ、ユメの事…。」
マイコは呟きながら泣いていた。
親友だと思っていたユメの裏切り、そしてこんな形で片思いを終わらす絶望感で胸が張り裂けそうだった。
一方でソージはユメにメールしていた。
メールのタイトルは
「マイコちゃんに伝えておいて。」
本文
「マイコちゃん今日これか
らユメと一緒にあそばない?
マイコちゃんの電話番号とメ
アド交換したいから。」
ユメは考えたこれを利用しないわけにはいかない。
すぐさまマイコの所へと走り本心にはない事を言って謝る。
「マイコさっきはごめん。あたしも好きだよ兄さんの事。」
ここまでは本当の事だが、ここから嘘の御託をならべる。
「あたし、嫉妬心と兄さんを独り占めしたかったからあんな事言ったの。だから許してこの通り。」
ユメは深々と頭を下げてニヤリとわらう。
「ウチ嬉しいユメがやっと本音を言ってくれて。頭を上げてよユメ。」
そして、マイコはユメの手を握りしめる。
「ビッチがあたしの手をにぎてんじゃねぇ。」
ユメの内心はこうである。
パっと手をふりほどくと携帯電話を取り出しソージからのメールをマイコに見せる。
「これ、お互いにとってチャンスだと思わない?」
ユメは白々しくマイコに言う。
「うん、ウチ今日占いで恋が実る予感ってなってたんだよね。友達とケンカするけどすぐに仲直りって書いてあったなぁ。当たっちゃった。」
「へぇ、そうなんだ良かったね。」
ユメは言葉ではそう言ってたが内心はひどいものだった。
「中三にもなっておめれたい頭だなこのバカビッチ。」
思わずニヤついていたユメ。
「ユメ、何ニヤついてんの?」
「え、あ…うん、これから三人デートかって思うとね。」
「すごくわかるその気持ち。」
ユメはそんなマイコの言葉にまた心で笑う。
「どこまでおめれたいんだ処女かお前?」
心の中でバカにされているとは思わないマイコはユメに聞く。。
「ユメ待ち合わせの場所と時間は?」
「そうだちょっと待ってメールする。」
数秒後メールが帰ってくる。
タイトル
「三町目の公園。」
本文
「時間は五時。」
「…だって。」
ユメ達は公園に向かう。
ソージ達は公園内を散歩しながら会話していた。
「マイコちゃん編み物の他に料理も得意なんだね。」
「はい、今度ウチの料理ソージさんに食べてもらいたいな。」
「はぁ、どこまでめでたいんだよこいつら。」
ユメは心の中でため息をつく。
「そうだ、今度ウチの家に二人で遊びに来てください。」
「うん、行くよ。」
ソージは乗り気だったが、ユメは乗り気じゃなかった。
「あたしはパス。」
マイコはそれに対しソージの腕を組み嬉しそうに言う。
「じゃあ、ソージさんと二人きりになるね。」
「はは、そうなるね。」
ソージは照れながら言葉を返す。
「マイコ。」
「うん。」
マイコがユメの目を見ると、ユメは怖い顔でマイコを睨んでいた。
マイコの脳裏にあの言葉がよぎる。
「死ぬぞ?」と…。
「あ~、そうだウチ部屋汚いんだ。ちょっと呼べないかな?」
マイコは冷や汗を額に浮かべ途端に苦しまぎれの嘘をつく。
「あ、そうなんだ。なんかマイコちゃんのイメージからは想像できないな。」
ソージは不思議そうに首を傾げた。
「どうせなら、あたし達の施設にきたら?」
ユメの提案にマイコは不本意ながらうなずく。
「あ、そうしよう。ウチ、ソージさん達がそんなとこに住んでいるか見てみたい。」
「決まりね。」
ユメの圧力に負けたマイコは内心悔しさでいっぱいだったけど、ソージの住んでる所も見たかったのでこの場は同意する。
「う、うん。」
「それなら来週以降になったしまうね。」
ソージは反省室に入れられてる事を思い出す。
反省室に入れられてる者は本当の家族や親戚じゃないと面会はできないルールになっている。
「どうしてですか?」
ソージはいきさつと今の施設での状況を説明する。
「そうなんですか。」
がっかりした様子のマイコ。
「でも一生てわけじゃないし、それに二週間後の日曜日なら大丈夫だと思う。」
「じゃあ、二週間後の日曜日にお弁当持て行きますね。」
ソージとマイコは約束を取り付ける。
「ふふ、おもしろい事になったわ。どうせなら、そこでマイコの事も洗脳してやろうじゃない。」
ユメは良からぬ事を計画していた。
「もう、こんな時間か。」
時計の針は六時を刺していた。
夢ハウスのの門限は六時半、急いで帰らないと怒られてしまう事になる。
しかも、ソージ達は反省室に入れられてる身。
門限をやぶってしまては反省室から出られるのが延期になってしまう。
ソージとユメはマイコに手を振る。
「またね、マイコちゃん
「バイバイ。」
マイコは手を振り替えす。
「バイバイ、ユメまた明日ね。ソージさんも、また会いましょう。」
ソージとユメの姿が消えた頃マイコも帰宅する。
時計の針が八時を刺す頃マイコは自室でソージの事をかんがえていた。
「ソージさん、ウチどうにかなってしましそう。」
そしてマイコは自分の胸と股をまさぐる。
その頃、夢ハウスではユメを挟んでソージとユートが話をしていた。
「ソージいつで出れるんだよ}
「知らね。」
「釣れないやつだな。」
両側から怒鳴り声が聞こえてくるものだから、思わずユメも叫んでしまった。
「うるさい、男子ども静かにしろ。」
ユメの一喝はソージ達を黙らした。
「ユメ、ごめんよ。」
「すまん。」
ソージとユートは静かになった。
「ふふ、仲がいいのね。」
ユメのこの言葉はまたソージ達をうるさくさせた。
「はぁ、誰が?」
ユートががっつく。
「こんな奴と仲が良いなんてあり得ん。」
ソージも少しムキになる。
「ふふ、似た者同士じゃない。」
「誰が似てるもんか。」
ソージとユートの言葉がハモる。
「ふふ、ほらね。」
ユメはおかしくてたまらなかった。
一方でマイコは果てていた。
「はあはあ、ウチ変態だ。こんな事して…。」
マイコは自分を攻める。
「ウチ、好きな人の事思うとすぐに病気がでちゃう。」
マイコの性癖である過剰までの自慰。
それは強いストレスに影響していた。
マイコの両親は厳格で非常に厳しく、マイコに小さい頃からいろんな習い事や塾など無理強いをしてきたのだ。
それが、マイコの過剰なまでの自慰に繋がっているのだが本人はその事を自覚していない。
「寝よう、そして良い夢みよう。」
マイコは電気を消すとベッドに潜り込む
そして、マイコは目を閉じ夢のイメージをする。
これは夢であり現実ではい。
マイコの夢。
そこはファンタジー少女マンガのような世界だである。
お花畑でマイコは王子様を待っていた。
ここで夢の操作は始まる。
これはマイコの意志であり、ユメの能力ではない。
マイコは自分の夢を好きなようにコントロールできる「夢自由型」という特殊能力の保持者である。
そこへマイコはソージを登場させた。
「マイコ姫、僕の馬に乗りたまえ。」
ソージは白馬に乗った王子様で、マイコを白馬に乗せお城へと連れていく。
お城では舞踏会が開かれていた。
舞踏会では王子様のソージをたくさんの女性達がまっいぇいた。
そして、王子様の登場は女性達を騒がせる。
「キャー、ソージ様よ。」
「すてきだわ。」
その中にユメも混ざっていた。
「どきなさい、王子様はあたしのものよ。」
ユメ人をかき分けて目に躍り出る。
「ソージ様、あたしを妃にしてください。」
誰もが羨む中ソージはユメを抱きしめる。
「やっぱり、ユメ様にはかなわないわ。」
他の女性達は諦めムード。
しかし、マイコが白馬から降り走ってきて、ソージからユメを引き離すと女性達が見ている前でキスをした。
当然、周囲の女性達はマイコの行動に腹を立てて靴を投げつける。
ユメはマイコに対を押し倒してヒール踵でマイコの顔をグリグリと痛めるつける。
「なんなのあなたは、あたしのソージ様に何をしたかわかっていらっしゃるのかしら?}
ユメは他の女性達にマイコを痛めつけるように命令する。
「よくも、私達の王子様と勝手に口付けだきたものね?」
「そうよ、新入りの分際で。」
「どこから来たの服も見窄らしいじゃないの。」
暴行を受けるマイコ。
しかし、マイコは負けなかった。
「ソージ様とウチはフィアンセなのよ。」
マイコは隣の国の紋章を周囲にみせる。
「あれは、マイコ姫では?」
周囲の女性達は恐れおののきひれ伏するがユメだけはしなかった。
「あら、どこの誰かと思えばあの貧乏な国のお姫様だったの?」
ユメは大国家かお姫様でマイコは権力では及ばない。
「知ってるわよね、あたしに逆らえばあなたの国なんかいちころよ?」
「く…。」
マイコはひるむ。
しかしここでソージがマイコを庇う。
「君の国家より僕の国の方が権力はあるのを忘れたのか?」
ソージの言葉にユメは逆にひれ伏してマイコをいじめるのをやめる。
「ありがとうウチの王子様。」
こうしてソージとマイコは幸せに暮らし子宝にも恵まれたのであった。
これはマイコの夢であり現実ではない。
現実に戻そう。
「ああ、ソージ様…。」
マイコが目を覚ますとまた自慰をしていた。
「ウチ夢を見てこんな事を…。本当に変態女だ。」
マイコは強烈な罪悪感を感じていた。
夢ハウスでは早朝からまたユートがソージに食ってかかっていた。
「ソージ、昨日ユメが言ったこと魔に受けてるんじゃないよな?」
「は?」
「俺達別ににたもの同士じゃねぇからな?」
「そのことか、こっちだってお前と似たもの同士なんて御免こうむる。」
そこへユメが割って入る。
「朝っぱらから仲が良いこと。」
それに対しソージとユートが反応する。
「はぁ?」
また言葉がハモる二人。
「ふふ、似たもの同士は変わらない。」
ユメはソージ達をからかうのがおもしろくなってきたのである。
「ユメ、言っとくけどこんなお子さまと一緒にしないでくれよ。」
ソージはユメに言葉を返す。
「兄さんも、まだお子さまね。」
ユメは冷静にソージの言葉をそっくりそのまま返す。
「くっ…。」
ソージは痛いことをつかれて反論できない。
そのうち朝食の時間になりタケルが三人の食事を持ってきた。
「飯だぞ。」
一号室から順番に鍵を開けるタケル。
三人に食事を配り終えるとタケルはユメの様子をうかがう。
「この小娘まだ誰にも手をだしていないのか?」
タケルはユメの顔をまじまじと身ながら内心で疑問に思う。
「タケル先生、あたしの顔になんかついてますか?」
タケルが自分の顔を見つめてくるものだらユメは気持ち悪いと重いササと二号室に入りドアを閉める。
「あの男、まさかあたしの計画に気がついてるじゃないだろうな?」
ユメはタケルを過去の因縁も含め、タケルを危険視していた。
「だとしたら、消すしかあるまい。」
それはタケルも同じ事。
ユメはソージを不幸にさせるためなら手段は選ばない。
一方でユメに復習を誓うタケル。
マイコはユメの手からソージを引き離し自分がソージと結ばれる事を願う。
その片隅でユートはユメに片思いをしている。
そして、夢見る少年ソージは複雑に入り組んだ人間関係の中で夢と希望を忘れない。
動き出した運命の歯車。
夢見る少年は誰の手に落ちるのであろう?
その答えはわからぬまま明日を迎えるのである。
今日は土曜日なので学校は休み。
一日中反省室にいなければならないのかとソージ達はうんざり。
「ユメ、なんか面白い話ない?」
「ない。」
ユメはソージを冷たくあしらう。
「じゃあ、ユートは?」
「お前と話す事はない。」
当然の答えが返ってくる。
その時コンコンと一号室のドアがノックされた。
「はい。」
「タケルだ。ソージ出ろ。あと、ユメもユートもだ。」
なんと、二週間は見込んでいた反省室生活が三日で終わったのだ。
「いきなりどうしてですか?」
ソージはタケルに不思議に思い質問する。
「俺が所長に頭を下げたんだ。」
なんと、ハルマに頭を下げたとタケルは言う。
「なぜです?」
ユメは少し残念な気持ちだった。
何せソージに洗脳が出来にくくなるからだ。
「ここは危険すぎるんでな。」
タケルの言葉にユートは聞き返す。
「何が危険すぎるんだ?}
「いろいろとな。」
タケルはユメの方に目を向ける。
ユメは内心焦りを見せていた。
「やはり、こいつあの時のヤクザの一味か?」
ユメは目をそらす。
「ソージとユートは今から指導室にこ来い。」
「あたしは?」
ユメはタケルに聞く。
「お前は自室に行ってろ。」
そしてタケルはソージとユートを指導室に連れていく。
そこで待っていたのは女性カウンセラーのジュンコだ。
ジュンコは夢ハウスの児童達を定期的にカウンセリングしている。
「ソージ君、そしてユート君あなた達にはこれからカウンセリングを受けてもらうわ。」
「どうして急に?」
ソージhあまたも疑問に思う。
「信じ難い話なんだがユメはふつうの人間じゃない。」
タケルは焦りから唐突過ぎる結論から言う。
「ユメは他人の夢の中潜入して、その人の夢を操り洗脳して不幸にする恐ろしいやつなんだ。」
ソージとユートは当然信じられない話であった。
「論より証拠よタケル先生。」
「そうだな。」
タケルとジュンコはソージとユートをカウンセリング室に連れていきベッドに寝かせる。
「いいか、これからある夢を見せる。それはどこまでも続く草原の夢だ。」
ソージとユートは不思議に思ったが、他人に自分の夢を見せれる事が出来るというタケルの嘘をあばこうと言われるがまま眠りにつく。
これは夢である。
「ソージ。ユート。」
暗闇の中からタケルの声が聞こえた瞬間にそれは起こった。
二人は草原の中にいた。
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