第14話 神力

「修行だーーーー!修行修行!」


「そんな大きい声出さないで下さいよ!」


 僕ははしゃいでいるケルトさんに一喝入れる。何で修行にはしゃぐんだか…


「とりあえず今日は神力の使い方を教えるぜ!」


「神力って何ですか?」


「神力っつーのは神から与えられた力だ!簡単な使い方だと超能力みたいに物を浮かせたり出来るぞ!」


「それってすごいじゃないですか!」


「そう、明らかなる万能の力だ!だがな、やっぱり限度っつーのがあるわけよ。大抵のやつは寝たり休む事で治る。てかそれ以外見たことないし。体の中にある神力の量は人によって異なるぞ!」


「それで今日は何を?」


「あの机に置いてあるペン!あれをここに持ってこい!もちろん一歩も動かずにな」


 ケルトさん僕以外に説明してる感が…まぁそれは置いておいて。神様の力って自分で操れるものなのかな。


「やり方は簡単。神力で手を作るイメージだ。そしてその手を自分の体の一部だと思う。そうすりゃ持ってこれるぜ!」


「はい!」


 すっごい分かりづらい!でもやってみるか…このフワフワしてるのが神力かな?とりあえずこれを集めて手の形にしようとする。


「意外と難しいです…指の形を作るのがちょっと…」


「ん?イメージするだけで良いんだぞ?」


「だから今作ってます!………出来た!出来ました!」


「?そうか、出来たんだったらあのペンを掴んで持ってくるイメージだ!」


「はい!」


 この手を動かすのか…。うわ、ちょっと動かすとフワフワが散っちゃいそう!これは難しい…何とかペンのところまでは持ってこれた!


「うーん。指を動かすのがちょっと難しいですね…」


「?自分の手と連動するイメージだぞ?」


「だから今やってます!」


 さっきからケルトさんうるさいのですね…。うーむ。あ、掴めた!


「おー浮いてきた浮いてきた!その調子だぞ!イリウス!」


「これで持ってくる……あ、」


 ペンが落ちる。


「まぁ最初はこんなもんだ」


「このフワフワしてるのを使うのが大事なんですね!好きな形にするのがすごいむずいです…」


「ん?フワフワ?」


「はい!この僕の周りのフワフワしたやつ」


「んなもんねーぞ?」


「え?」


「少し前から見ておったのだが、お主ら妙に話がズレておるな…」


「あ、ご主人様。こいつが変な事言ってきて…」


 事の一部始終をケルトさんはバクに話す。


「なるほどの。ケルト、イリアスの言っていることは事実だ。少し神が見える事について調べていたんだがな。大昔にはある程度居たらしい。だが今は全く居ないと。そしてそれよりも興味があるのは神が見える者は神の力も見えるということだ」


「神の力が見える?」


「そう、神が見える者には罠も奇襲も効かぬとされている。そして昔の神が見える者たちは見えている能力を『線』と言ったらしい」


「線…ですか。フワフワって言うのは?」


「分からん。おそらく能力は線、神力をそのフワフワに見えるのではないか?」


 何を言っているかさっぱり分からない…多分神様が見えることだろうな…


「えっとえっと、つまりこのフワフワもケルトさん達は見えないってことですか?」


「まぁそうだな〜。たく何でお前はそう変なもんが見えるかね」


「僕に言われても….」


 「見えるのなら神力を使いこなすのも時間の問題なのではないか?」


「お、確かにそうですね!よし、イリウス!そうと決まれば修行だ修行!」


「だから何でそんな張り切るんですか…」


一方その頃。


「報告は以上か?」


「以上かって驚く所があったでしょう…」


「んーまぁ神が見えている時点で普通ではないの。昔は居たものだが、今は全く見ないしの〜」


「あやつはローディアで唯一線が見える者になりますぞ。線が見えるだけで戦いにおいてとてつもなく有利になってしまいますぞ!」


 生神はいちいちうるさいの〜。お堅い所がこやつの悪い所よの。


「別におかしなことではない、この時代に線が見える者が現れた。たったそれだけのこと。何を不安がっておる?」


「…あの者が力を持って良いものなのか…イリウスは力に溺れないだろうか、それが私の不安です」


「そんなことか、問題無かろう。我がそう思う」


「…イリウスについて何か知っているのですか?」


 ギクッ。勘が良いやつよの…まぁ流すか。


「そんなわけ無かろう?そんなことより・・・」


全く心配させおって。待っていたのだぞ。

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