第11話 その後

 イリウスの事を人間界に帰そうとしたバクとトラさん。それを阻止するために敵対したケルトさんが2人に立ち向かう。とある神社でイリウスが能力者になったと言う事で人間界に帰さなくて良いと決定した。今回はそのすぐ後の話だよ。

 神様が言うだけ言って空に消えていった後。イリウス達は家に帰った。色々あって帰ってすぐ昼食の時間なのだが…


「いっただっきまーす!」


「いた…だきま…す」


「「…」」


 イリウスは食事に手を付けようとするがやはり気になることがある。

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 とその前にイリウスの席について書いておく。イリウスの座ってる所はケルトさんの隣だ。ケルトさんの正面にはバクが、イリウスの正面にはトラさんが居ると言う感じな席だ。

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 イリウスはケルトさんとバク達を何往復もして見る。バク達はすごく気まずそうだ。


「イリウス、別に気ぃ使わなくて良いんだぜあんなやつら。お前の事追い出そうとしたんだからな」


ケルトさんはちょっと怒りながらそう言う。けどイリウスは食べずらい様子で手をつけない。


「その…ケルト?さっきはえっと…」


「それは俺に言う事なんすか?」


バクはウッと少しダメージを受けた後イリウスの前まで来る。


「すまなかった!」


バクが頭を下げて謝っている。いつも偉そうにしているのでその姿を初めて見てイリウスは驚く。


「き…気にして…ない…で」


「嘘言うな」


イリウスが全部言い終わる前にケルトさんは突っ込む。イリウスも全力で追いかけられて怖かったのは事実だし言い返せなかった。


「我は不仲で居たくない…どうすれば許してくれるのだ?」


イリウスは急に言われて迷っている。特にして欲しい事もないし、かと言って何もさせないとなるとケルトさんがうるさそう…。色々悩んでいるとバクが意を決して言う。


「ケルトは其方の父親なのだな…?我とお主は似ておるし、我を兄弟にでもしてくれぬか?」


「そりゃどういう意味で?」


バクのよく分からない発言に間を空けずにケルトさんが聞く。


「家族になろう…と言う事だ」


「か…ぞく…?」


イリウスは驚きと同時に何かを思い出す。





ピーポーピーポーと救急車の音が響く。


「人が引かれてるわ…」「あんなぐちゃぐちゃに…」「車の中に誰も居ないらしいわよ…」「こりゃひでーな…」


(お母さん…お父さん…)


血が付いた服と顔で涙を浮かべながら横断歩道の先を見つめる。怖くて悲しくて仕方がないのに、手を握って不安を抑える。

     そして、信号が赤に変わる。





「おーいイリウスー?」


ケルトさんの声で目を覚ます。これが忘れていた記憶…。そう思いつつもイリウスは笑って言う。


「かぞく…なりたい…です!」


バクは嬉しそうにしてケルトさんの方を向く。


「ほれ!なりたいと言っておる!そうだの〜兄弟と言ってもの〜、我がお兄ちゃんでどうだ??弟と言うものがどう言うものか少し気になっておっての〜」


バクは揚々と話し続ける。イリウスは楽しそうにしているバクを笑って眺める。


「あ、トラはどうするのだ?」


「俺は別にどうでも良いです」


ずっと無関心だったトラさんにバクが聞くがトラさんはめんどくさそうに返す。


「どうでも良いと言う訳にはいかん。我々は家族になるのだぞ?」


「………」


トラさんは勝手に決定されたことに不満を感じている様子。


「じゃあこうすりゃ良いんじゃねーか?トラはイリウスの面倒見ていざとなったら命かけて守る。変な条件じゃねーだろ?家族的地位は……奴隷とかで良いんじゃねーかー?w」


「貴様っ!俺は主にしか忠誠は誓っていない!どこの馬の骨かも分からない人間を命懸けで守るなんて!」


「それで良いだろう」


トラさんが一生懸命言い返していた所でバクがケルトさんの意見に許可を出す。


「な、主!私はあなたに…」


「だが、奴隷だけは勘弁してくれないだろうか。頼む…」


またもやトラさんの意見を弾きイリウスに頭を下げる。トラさんはそんなバクの態度に何も言えなくなり、諦めたように机に手をつく。


「そうだな〜。お前男だからな〜。叔父とかで良いか」


「随分適当よの…」


「そんくらいしか思い浮かびませんよ!」


そんな事を話して、イリウス達は家族になることになった。

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