自分は何として、どう生きるか。

この物語は、ヒューマノイドで溢れかえった近未来を舞台としたSF小説でありながら、自分は何としてどう生きるか、読み手にそう強く訴えかけてくる重厚なヒューマンドラマでもあります。

原因と結果、それと行動が何の狂いもなくイコールで結ばれる。それがロボットやヒューマノイドのある種定義として定められてはいますが、もし彼らに感情があり、そのうえ自我があったとしたら。

この物語の主人公であるオルドは人として生きてはいましたが、ある日を境に自分はそれではないという事実を突きつけられ、自らの存在やこの世界で生きている理由を、裏切りや策略などと幾つもの障壁を乗り越えながらその答えを追い求めていきます。

作者様の書かれた文章は情景描写が繊細かつ丁寧で、そのうえ物語を展開していくその構成力は圧巻で、まるで一本の映画をみているかのような壮大さと満足感があります。

SF小説は小難しい話ばかりが続くと何かと敬遠されがちですが、そのような事は一切ありません。むしろこの物語の展開していくスピードと壮大な世界観に、きっと読む手が止まらなくなるはずです。

是非御一読下さい。

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