魅力的なテーマが散りばめられた珠玉の物語

 鉄腕アトムの時代から、フィクションでは自我を持つロボットの人権は何度もテーマになってきました。
 果たして自我を持つ存在が人類以外に現れた時、人類は自らの特権をその存在に対しても許容するのか?
 令和の今に書かれたこの物語では、今の私たちがその問いに対してどう考えているのかを透かし見ることができます。
 
 ほかにも、自我を持つ存在を自分たちの都合で生み出すことの手に負えなさ(ごめんなさい。適切な語彙が見当たりませんでした。厄介さと計り知れなさなど、正にも負にも大きく膨らむ可能性を指して手に負えなさ、と呼ぶことにします)などは、昨今の反出生主義と対比して読んでも良いかもしれません。

 アクションやストーリー展開も魅力ですが、それらを味わいながらテーマが内包する問いを自然と考えてしまう、そんな魅力に満ちたよい物語です。

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