失格者の悩み事
tetuamu
第1話失格者
この世は不平等だと思う。
なぜなら、一人一人によって持つものが違い、持たざるものと持つもので分けられてしまうからだ。
僕は...持たざるものだった。
僕には才能がない。何もかもが常人より劣っていると言っても過言ではないだろう。
運動もできなければ、歌も下手くそだ。
「おはようございます、テルア様」
「んっ....おはよう」
僕を起こしにきてくれたのは、メイドのアリアだ。
僕はいわゆるところのおぼっちゃというやつで、専属のメイドがついているし、
他から見たら十分贅沢な暮らしを送っているだろう。
今日は長期休み明けの新学期登校日であり、僕の気分はとても憂鬱だ。
「あーあ、学校行きたくないな.....」
そう小言をこぼすと、それが聞こえていたのかアリアが
「そんなこと言っている暇があったら早く支度をしてください」
なんて一蹴されてしまった。
主従関係なので敬語を使っているが、アリアは僕と同年代である。
ていうか、主従関係なのに僕に冷たすぎやしませんか??
なんてことを朝から思う。
そんなこんなで支度を終えて、僕は朝食を取るために食卓部屋に向かった。
部屋につくと先客がいた。
「おはようございます、お兄様」
そう言って僕に微笑んでくれたのは、僕の妹のアイシャだ。
アイシャは僕の一個下だが、とても顔立ちが整っていることに加え、
大人びた性格をしていることから学園でも多大な人気があるらしい。
僕の目から見ても、控えめに言って天使に見える。
やだもうこんな美人に育っちゃって!!
なんて思っていると
「お兄様は今日も素敵ですね!!」
なんてお世辞まで言ってくれる。
......抱きしめていいっすか??
まあ流石にそんなことをしたらキモいと思われてしまうだろう。
アイシャにキモいと言われた日には、僕はもう生きていけないと思う...
なんてことを考えながら、朝食を食べる。
食べ終わるとアイシャが
「お兄様、せっかくの新学期初日の登校日なのですからご一緒に登校しませんか?」
と言ってきた。
本当であれば、僕はすぐさまに頷いていただろう。
だが......
「だめだ。アイシャは僕とじゃなくて、友達と行きなさい」
本当は僕だって一緒に行きたい。
「アイシャは僕が学園でなんて言われているか知ってるだろう?
”失格者”だって」
”失格者”これが僕についた呼び名だ。
この世界には魔法というものが存在し、人々の生活に多いな影響を与えている。
魔法の形は変幻自在で様々な種類があり、位階なども存在する。
普通なら僕くらいの年齢の人たちは、基礎的な魔法はほとんど扱うことができる。
魔法の扱い方を学び、それを研鑽してより良いものにしていく。
これが学園の掲げるものだ。
でも.....僕は魔法を使うことができなかった。
何回も検査を受け、解決する方法を探った。
しかし、医者からいわれた言葉は一貫して
「わからない」だった。
魔力がないわけではない、発動に至る過程で何らかの障害があるらしいのだ。
結局、魔法を扱うことのできない僕はこの学園で失格者の烙印を押されてしまうこととなってしまった。
それが今の僕、テルア・エイデスだ。
そんな僕とは正反対で、妹のアイシャは成績優秀で、学年でもトップレベルだ。
それに加えて容姿端麗ときたもんだ。
そんなアイシャが兄弟とはいえ失格者である僕とつるむなんてよく思わない連中もきっといるだろう。
「わかりました....」
アイシャが少しうつむきながら返事をする。
罪悪感が湧いてしまったので軽く頭を撫でておいた。
お互い時間差で登校し、学園へと向かった。
僕の通っている学園はこの国、神聖アルカ皇国が直接管理をするという
国中のエリートが集まる学園だ。
周りの登校している生徒を見渡せば、どこかの貴族令嬢やおぼっちゃまばかりだ。
僕に気付いたのか、周りの生徒達が話し始める。
「ねえあれって.....」
「失格者じゃない」
「朝から嫌なもん見ちまったな」
なんて言葉を次々と口にする。
まぁさすがの僕も言われすぎてすっかり慣れてしまった。
前言撤回、やっぱりまだ慣れていないようだ.....
「はぁー、新学期早々から気が重いな.....」
そんなことを思いながら歩いていると、校門前についてしまった。
観念して僕は校門をくぐり、教室へと向かう。
廊下でも好奇の目にさらされながら教室に入ると、僕の机の上に一人の
生徒が座っていた。
「おはよー」
なんて朝から気の抜けた挨拶をしてきたのは、僕の数少ない友人のうちの一人の
ライル・アーカスだ。
「人の机の上には座るなと毎回言ってるのに....」
と注意すると、
「まぁまぁいいじゃんー」
腑抜けた返事をする。
よし絶対にわかってねぇーなこいつ。
朝からそんな問答を繰り広げていると、鐘がなり担任の先生が入ってきた.....
失格者の悩み事 tetuamu @teruamu
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