非常に完成度の高い、そして内容の充実した青春ホラーでした。
昼間からベンチで飲酒にふける20代後半のお姉さん、条件付きのタイムリープに、異界化する学校や公園、「夏概念」そのままのような空間をはらむ田舎の村と、「あ、これネットでバズってたやつだ!」なネタがギュウギュウにちりばめられて、しかもそれが実に巧みに有機的につながって物語を構成している一見奇跡のような出来上がり。なんというか、アイデアの取捨選択と構成の手腕が素晴らしい。
そして、劇中に登場する少年少女、そしてお姉さんの知性が高いこと高いこと。
常人なら先ず間違いなく詰みにはまってバッドエンドになりそうな状況から、主人公たちは自らの研ぎ澄まされた観察力と思考力、それにピュアな善性とひとかけらの超常の手段を武器として、何度も生還してくる。
彼らは絶対にあきらめないし、怪異の悪意にも屈しない。混沌とした眼の前の事象から筋の通ったルールを導き出して、その条件下で堂々と勝負して命を拾う姿はホラーでありながら非常にすがすがしいものでした。
某TRPGのシステムやシナリオとも相性がよさそうな気がしますし、彼らなら悪名高い「あの財団」にエージェントとして就職したりしても、着実に成果を上げ人類の守りとして活躍していくことでしょう。
この作品をカクヨムコンの読者選考期間終了後に発見してしまったことは、実に口惜しいことです。
ですが、この明晰で胸のすくような謎解き攻略型青春ホラーを着地させた、作中人物顔負けに頭のいい作者様のこと(一見奇跡のような出来栄えは、作者の知力の表れなのだと思います)
必ずや次の、そのまた次の、素晴らしい作品を(願わくば本作の続編を)作り上げてくださることでしょう。心からの期待と応援を手向けます。
学園×ホラー×NTRの新境地。しかしながら全年齢向けで、かつ性別を問わず楽しめるように仕上げられた作品。さすがは姫路さん、2度のNTR小説フェスタ主催を通して磨かれた「NTRとは」という思索とバランス感覚が光ります。
なにより、ちかりさんですね。
この作品の魅力はなにより、頭の回転の速いひとたちが、その回転の速さを余す所なく生かして繰り広げる日常会話。そして絶対的な脅威である怪異を、機転と行動力で打ち破る爽快さにありましょう。
そして、ちかりさんですね。
気持ちよくなりたいか?
なりたいのなら、まずは第一話から初めていただくのがよろしいかと思います。
ちかりさんは第二話からです。
そうしたらあなたは、第三話、四話と読み進んでいることと思います。