ファンタジーとは現実逃避の文学。 多くの人がその文言をどこかで目にしたことがあるでしょう。 本作の主人公も、そんな「ナーロッパ」に代表されるような異世界に逃げ込んで、自分に都合のいい物語の主人公になりたいと願っていました。 そして、彼が迎えた結末とは? 「異世界」へ逃避することを「旅人」についての歴史考察と掛け合わせ、思わぬ地平へと導いてくれた本作。 素材と素材の掛け算がとても綺麗で、そのラストの恐怖のヴィジョンにはひたすら感嘆。 これを読んだ後は、もう転生者になる夢は持てません!
重要な場面で逃げ出した人間に相応しい物語でした。コミカルな部分とホラーな部分の緩急の付け方が巧みで、大変読み心地がよかったです。また、都市伝説ものとして、開示された真相に意外性があり、思わず感嘆の声が漏れました。
異世界モノが流行り、ひき逃げ犯が指名手配される昨今を風刺した様なショートストーリーでした。実写化して最後にストーリーテラーのタモリが出て来てもおかしくない、自然な流れでした。