第7話 もう一度会いたい恋愛下手な男と濡れない女2

自分だけのヒトにしたい、俺だけに感じて欲しい

オス的な感覚に驚きながら、底にある本能に満足してしまっている自分に気づく。


 ベッド脇に鏡がある、其処に彼女を向かせて後ろから深く入れる。

「見て、凄くない?、君の顔も髪もカラダも繋がってるトコも、」

 いやらしい……

  鏡を見て、コレが自分とは思えない、見ているのは私の顔? 下腹部はぐちゃぐちゃと水音を立てて、出し入れされているのがハッキリとわかって、更に後ろの肩を噛まれながらずっと強い瞳に捉えられているのが、映っている。

 

 あっ、と思うまもなく快感が駆け上ってきてオルガスムに達してしまった。

 中がビクビクと締まって、思わず男の頭を掻き抱く、

 「、もう俺も持たない、イクッ……」

 涙と汗と快感に溺れている女の後に続いて、激しく動いてU紀雄も果てて行った。

 

  ――――――――――――

 

 人肌に触れながら眠ったのはいつぶりだろうと、思いながら目覚めた。

 知らない髪の毛が目に入る。

 胸の中で寝ている彼女を眺めながら、

 (パートナーには何と言って出て来ているのだろうか、)

 と、ぼんやりと考えている。

 一瞬、此処にいる女性が自分だけのモノで、他に帰る所など無いのでは。

 考えたことのない変な感覚に陥ってしまいそうになる。


 ――――――――――――

連休2日目、泊りになってしまって大丈夫なんですか? とU紀雄が尋ねると


 「友人宅に泊まらせてもらってる事になっていて……」かえってきた。


 「直ぐに帰らなくていいんですね?、行きたい美術館があるんですが、」と、いまやってるとある展覧会に興味あると、初めて会った時にT美が言っていたのを覚えていた。

 「確か今日までやっている筈で、」

「あ、行きたいです、一緒に行っていただけると嬉しいです」

 ぱっと目が輝いたのが嬉しく感じた。

 引き留めたい気持ちが叶うと嬉しいものなんだなと思った。


 それから、午後に電車で出掛けて、その美術館で作品展、常設展も鑑賞して、更に美術館併設のカフェで、それぞれが作品で感じたことを語り合った。


そして、夕方になってもうお互いに帰る時間を意識せざるを得なくなった。


  「今日はお付き合いいただきありがとうございました」

最初に待ち合わせた駅に戻ってから、丁寧にお辞儀をされた。

 

「送るよ」手を取って自分の車まで連れて行く、彼女の家までは1時間のドライブになる。

夜の道路を互いに黙ったまま、車は走った。


 最後にするつもりなのかと、T美の表情からは読み取れない。


「これで終わりなら、真っ直ぐ送る、でも俺は曲がりたい」

 分かれ道の手前で告げた。曲がった方はホテル街だ。

 見えないけれども、T美が息を呑んだ。


「嫌だと言われたく無い……我儘に過ぎないけど……」

 なんでこんなになってしまったのか?、忘れられない手離したくない、今、この手を掴まないと後悔してしまう。


 息をついた音がして、俺の脚に手が置かれた。

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