巡リ合ウ僕ラハ宇宙人デアル!

三越 二郎

僕ラハ宇宙人デアル!

 ワープしたのはいいものの機体の不具合が起こった。「まずい…このままでは墜落する…」僕は急いで近くの惑星はないか探した。「あった!」地球という星だ。とりあえず、どこでもいいから、修理する場所が欲しい。「ここがいい、周りは海に囲まれているし大丈夫だ」僕は機体を操縦して、なんとか地球に不時着した。僕は、地球に不時着した宇宙船から出てみると、目の前に家らしきものがあった。ここは庭だろうか。「まずい…」僕は宇宙船の透明機能を使い、宇宙船を見えなくした。そして、「……どうやって直そうか……」僕が考え込んでいる時、「誰かいるんですか?」と声がした。声のする方を見るとそこには、小さな女の子が僕を見つめていた。

「あ!恐竜さんだ!」その女の子は僕を見て目を輝かせていた。

『恐竜さん?』僕が不思議そうに思うと、女の子は言った。

「私、恐竜さんが大好き!」僕は驚いた。『ここの星は、僕の星と言語が一緒だ』「私、恐竜さんと一緒に遊びたい!」女の子は、僕に言った。『この子は大丈夫そうだ』僕はそう思った、女の子は僕に話しかけた。

「ねえ、名前は?」僕は自分の手を見た。

「僕は…………アルだ」「私も亜瑠!よろしくね!」僕たちはお互いの名前を知った後、「……ねぇ、アルはどこからきたの?」と亜瑠が聞いてきた。

「遠い星から来た」僕が答えると、亜瑠は少し眉を引きつらせて、

「恐竜じゃないの?」「なんだい、その……恐竜って?」

「私の大好きな生き物だよ!恐竜はね、昔地球にいたんだ。でも、絶滅しちゃったの。でも、私は恐竜が大好きで……いつかまた会いたいなぁ」亜瑠は寂しそうに言ったがすぐに笑顔になり「恐竜見せてあげる」と、どこか行ってまた戻ってきた。

「これ見て!」亜瑠が僕に見せたのは、図鑑だった。「これは、ティラノサウルス!」

「え、僕の星にも似たのいるんだけど……」僕は驚いた。「すごーい!アルは、恐竜と話せるの?」亜瑠が目を輝かせた。

「いや、僕が成長したら、こんな風になるんだけどね……」「わー、かっこいい!」亜瑠は目をキラキラさせて言った。

「でも僕……ずっとこの姿だから……」僕は、少しうつむいた。その時、「亜瑠ー、もう寝る時間だよー」と声がした。

「あ、お母さんだ!帰らなきゃ……あ、また会える?」亜瑠が心配そうに言った。

「ああ、会えるよ」僕はにっこり笑って言った。

「じゃあまたね!」亜瑠は手を振りながら、家の中に帰っていった。さてと、どうしようか。このまま、ここにいても見つかるかもしれない。今作業すると、見つかるかもしれない。だけど、眠い……少し寝ようかな。僕は家の一番上に登り、丸まって寝た。

 次の日の朝、僕は目を覚ました。ちょうど日の出だった。「さてと、修理するか」僕は、宇宙船の修理を始めた。「ふぁ〜……」亜瑠があくびをしながら庭に出てきた。そして、僕の宇宙船を見つけ、目を輝かせて言った。「わぁ!アル見て!お船がある!」そう言って駆け寄ってきた。「え!?何これ!!」亜瑠は驚いて僕を見た。「あ……しまった……」僕は少し焦った。

「すごくかっこいい!」亜瑠の目が輝いていた。「僕の船だよ」僕は少し照れながら答えた。「アルの船?」亜瑠は不思議そうに聞いた。

「そう」僕は、少し笑って答えた。「ねぇ、中に入っていい?」亜瑠が聞いてきた。

「え……あ……」僕が戸惑っていると、亜瑠は僕の言葉を待たずに宇宙船の中に入った。そして、操縦席に座り、目を輝かせて僕を見た。

「すごい!かっこいい!」そう言ってはしゃいでいる。「これは何?このボタンは何?」亜瑠は興奮していた。

「これはね……」僕は、亜瑠に説明した。「すごい!」と、亜瑠は目をキラキラさせて言った。

『この地球という星に来ることはもうないかもしれない』そう思った僕は、地球のことを亜瑠に話した。「……この星の人たちはね、アルが他の星から来たって知ったらびっくりすると思うよ」亜瑠は寂しそうに言った。

「……そうかも……」僕はうつむいた。「でも、私はアルのこと怖くないから大丈夫!それに……私、アルの友達だから!」亜瑠は笑顔で言った。「……ありがとう」僕は亜瑠の言葉に少し救われた気がした。

「あ、学校行かないと!アル、またね!」そう言って亜瑠は学校に走っていった。『さてと、続けるか』僕は宇宙船を修理を再開した。あれから何時間経っただろうか……まだ、終わらない。『おかしいな……』僕は不安になった。そして、太陽も真ん中に昇り、昼頃になった。『……まだ、終わらない』僕は重要なことに気が付いた。ワープに必要なパーツがない、何かで代用しないと。『しまった……これでは帰れない……』僕は頭を抱えた。「どうしよう……」その時、「アル!」と声がした。振り返ると亜瑠がいた。「ただいま!……アル、どうしたの?大丈夫?」亜瑠が心配そうに言った。「いや、その……部品が足りないんだ……」僕が小さな声で言った。「え!?じゃあ、帰れないの?」亜瑠が心配そうな顔で聞いた。

「……うん」僕はうつむいたまま答えた。「どんな部品なの?私、探すよ!」亜瑠は笑顔で言った。「え?」僕は驚いた。「…ボタンなんだけど…ある?この船にはボタンがないんだ……」僕は亜瑠に説明した。「うん、あるよ!」「え?」僕は亜瑠があっさりと答えたことに驚いた。「ちょっと待ってて!」そう言うと、亜瑠は家に戻った。そして、すぐに戻ってきて、僕に言った。「これでしょ?」亜瑠の手にはボタンがあった。「え……なんで……」僕が呆然としていると、亜瑠は言った。「そんなの気にしないで」

「……ありがとう!」僕は亜瑠に言った。「どういたしまして」亜瑠は笑顔で言った。そして、僕たちはまた宇宙船を修理し始めた。

夜になった頃、ようやく終わった。『よし!これで帰れる』僕は少しほっとした。その時、家から亜瑠が追い出されて、泣きながら家から飛び出してきた。「え!?」僕は驚いた。

「……お母さんが……もう出てけって……」亜瑠は泣きながら言った。「なにがあったの?」僕が聞くと、亜瑠は泣きながら言った。「あのボタン…パパの大事な仕事の機械のボタンだったの……それを取ったから壊れちゃって……だから、私出ていかないとダメって……」亜瑠は泣きながら言った。

「……そんな」僕は言葉を失った。「……アル、またね」亜瑠は涙をぬぐいながら笑顔で言った。

「え……?」

「今日も楽しかった!ありがとう!」亜瑠は僕に手を振って、家から走り出した。「あ、待って!」僕も亜瑠を追いかけて走った。しかし、見失ってしまった。『どこに行ったんだろう……』僕は辺りを見回した。辺りは真っ暗で、近くに亜瑠がいるかわからない。その時、「あ、やばい、宇宙人だ」「やば!」という声がした。『え?』僕はドキッとした。他の地球人見つかってしまった。僕が逃げようとした瞬間、地球人たちは「捕まえろ!」男たちが僕に襲いかかってきた。そして、「やめろ!離せ!」と僕は抵抗したが、男たちに押さえつけられてしまった。「クソッ……ヴオオオオオオオオ!」「ま、まずい逃げろ」地球人たちは僕を見て怯え、逃げていった。しかし、あたりを見渡すと、地球人が集まってきている。「おい、あいつだ!」「宇宙人がいるぞ」『どうしよう……』僕がそう思った時、「アル!」と声がした。振り返るとそこに亜瑠がいた。

「……アル?」亜瑠は目を見開いていた。僕はあわてて言った。「ダメだ!早く逃げろ!」僕は亜瑠の手を取り、走り出した。かなり、走った後に僕は立ち止まった。「はぁ……はぁ……」僕たちが息を整えていると、亜瑠は息を切らしながら、笑顔で言った。「……アルって、すごいね」

『え?』僕が驚いていると、亜瑠は言った。「だって、こんなに速く走れるんだもん!やっぱり、アルは宇宙人なんだね!」そう言って亜瑠は笑った。「そう……かな?」僕は少し照れて頭をかいた。「家に帰ろう」僕は亜瑠の手を取った。

「……うん」亜瑠は小さく頷いた。「そうだ、これあげる」僕はポケットから歯を取り出した。「え?何これ?」亜瑠が聞いた。

「僕の歯だよ、ほら」そう言って僕は自分の歯を亜瑠に渡した。「ありがとう!……でもなんでくれるの?」亜瑠が不思議そうに聞いてきた。「この星ではね、友達や大切な人に歯をあげるんだ」僕が言うと、亜瑠は嬉しそうに笑った。「……じゃあ、私も!」そう言って亜瑠もポケットから何かを取り出した。「はい!」

『これは……』それは小さな紙だった。広げると「私の宝物なんだ!アルを描いたよ!」亜瑠は笑顔で言った。「……ありがとう」僕は少し泣きそうになった。「さぁ、家に帰ろう」僕たちは家に向かって歩き出した。

家に帰ると、母親が待っていた。僕は透明機能を使い、亜瑠を行かせた。「何やってたの?」母親は亜瑠を怒鳴ったが、亜瑠は何も答えなかった。そして、「ごめんなさい……」とだけ言って、うつむいた。「心配したのよ」母親は亜瑠を抱きしめた。「ごめんなさい……」と、亜瑠も抱きしめ返した。『よかった……』亜瑠は家へ入った。『あと、一日だけいよう』僕はそう決めた。僕は直した宇宙船に入り、寝た。そして、最後の日、僕は宇宙船から降り、外へ出た。もう日が暮れている。僕は透明になり、亜瑠がいないか探した。大きな通りに出たとき、信号の前に亜瑠がいた。「あ、アル!」亜瑠は僕へ向かって走り出した。『なんで、見えてるんだ?』僕は戸惑った。その時、赤信号なのに車が突っ込んできた。「亜瑠!」僕がとっさに飛び出したが、遅かった。車にはねられた亜瑠はぐったりとしていた。『え……そんな……』僕は亜瑠のもとに駆け寄った。「……アル……」亜瑠はゆっくりと目を開いた。「亜瑠!大丈夫か?」僕は慌てて言った。「うん、大丈夫」と、亜瑠は言った。しかし、その目は虚ろで、息も荒い。『どうしよう……どうすればいい?』僕は必死に考えた。

「……アル」亜瑠が僕を呼んだ。「何?」僕が聞くと、亜瑠は言った。「……私、アルと会えてよかった、アルの歯ずっと、持ってたよ……」亜瑠は笑顔で言った。そして、ゆっくりと目を閉じた。『え……』僕は呆然とした。『……噓だろ……』僕は亜瑠を揺さぶったが、亜瑠は動かなかった。『嘘だ!』そして、僕は叫んだ。『嫌だ!亜瑠がいないと……嫌だ!!』「亜瑠!!!」僕は思わず叫んでいた。しかし、そこには誰もいなかった。「……クソッ」僕は地面を殴った。もう朝になっていた。僕はずっと座っていた。何もやる気が起きなかった。僕は亜瑠をその場に置き、亜瑠の家へ戻った。僕は宇宙船へ乗り込み、スイッチを入れた。機体は動き出し、どんどん上へ昇っていった。『なんで……』僕は涙を流した。亜瑠にもらった絵を見てみた。そこには、亜瑠と僕の絵が笑顔で映っていた。『……そうだ……』僕は操縦桿にある赤いボタンの蓋を開け、赤いボタンを押した。音声ガイドが「タイムワープをします、記憶を喪失する可能性が非常に高いです」と言った。僕は「ああ、3日前へ」と答えた。「もう一度、亜瑠に会いたい」「了解しました」音声ガイドが言うと、モニターに3日前の日付と場所が表示された。『亜瑠……行くよ』僕は機体を発進させた。機体は大きく揺れ、僕は圧力に耐えきれずに気を失ってしまった。気が付くと、ワープが終わっていたようだ、音声ガイドが「機体の不具合が生じました、近くの星へ着陸してください」とアナウンスした。あと、「僕は誰だ……」

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