【号外】 阪神淡路大震災30年
17日は、1995年に阪神淡路大震災が発生してから30年となる節目の1日です。当時、わたしは千葉県に住んでいたため、兵庫県民ではあるもの震災についての経験は関東に住んでいる人たちとなんら変わるところはありません。自分とは関係のない遠いところの出来事でした。
わたしのような年齢で震災に関して同じような心持ちでいる人は、この時期、神戸では居心地が悪い。30年前の震災体験を被災者だった人たちと共有できないからです。逆にいうと、それほどまでに当時の体験は衝撃が大きく、被災者にとって忘れられない記憶となっているといえるでしょう。
30年前、兵庫・神戸という大都市を直撃した震災は、災害に対するわたしたちの認識を根底から覆しました。それまでの地震対策は「地震予知」が中心で、静岡県とその周辺での発生が予想されていた「東海地震」が主な対象でした。兵庫・神戸はまったくの盲点で空白地帯。わたしたちも比較的地震が多い印象のあった関東と比べ、関西で地震は起こらないと信じて疑いませんでした。
震災後、大地震は日本のどこででも起こり得るという認識が一般化し、震災を事前に予知することができなかった「地震予知」は地震対策の中心から滑り降りることになります。変わって対策の中心となったのが「防災」や「減災」といった考え方です。災害多発地域、日本列島に住む以上、災害から逃れるすべはなく、せめてその被害を最小限に抑える工夫をしようという考え方です。地震予知より現実的で地に足のついた対策だと思います。
また、阪神淡路大震災は被災者、被災家屋が桁外れに多い都市型災害であったため、被災者の生活支援や災害ボランティアといった活動が注目を集めることとなり、以後の災害において一般化していく流れを生みました。災害を指して画期的という言葉は不適当かもしれませんが、被災者支援や災害ボランティアという面から見ると震災後にはじまるこれら活動は画期的だったと思います。十分とは言えないかもしれませんが、後の災害でもっとも機能したのが被災者支援と災害ボランティアという取り組みではないかと思います。
☆☆☆
さて、震災30年の振り返りは新聞やテレビでやってもらうとして、このエッセイでは被災者でないわたしに震災が与えた影響について書いてみます。
阪神淡路大震災が起こって数ヶ月、千葉から兵庫に一時帰県したわたしの頭に湧いてきたのは、
「未曾有の災害が起こったってのに、世の中なんにも変わらないんだな」
というバカみたいな感慨でした。たしかに地震は起こったようでしたが、被害の大きかった一部地域を除いて、故郷はこれまでと同じような日常を取り戻していたからです。
ポストアポカプリスというのをご存知の方もいると思います。
>【ポストアポカプリス】フィクションのジャンルのひとつ。大規模な戦争、大規模な自然災害、爆発的に流行する疫病などの巨大な災害、あるいは超自然的な事象によって、文明や人類が死に絶える様を描くもの、あるいは文明が死に絶えた後の世界を描くものである。(Wikipediaより抜粋)
80年代アニメに多く描かれ、なかでも『北斗の拳』はその典型です。『風の谷のナウシカ』や『アキラ』、『アップルシード』といったアニメもポストアポカプリスものといっていいでしょう。いずれも大きな災厄に見舞われて文明が破壊され、旧来の秩序が失われた世界に残された人びとの苦難と再生を描いた物語です。
80年代のオタクとして、わたしもポストアポカリプスの洗礼を受けたひとりであり、災厄によりこれまでの秩序がリセットされる(平凡でくだらないわたしの人生もリセットされ得る)という物語の立て付けに大きな魅力を感じていました。
ところが、阪神淡路大震災というだれも思いもしなかった大災害が降りかかったにも関わらず、兵庫県内の我が家とわが家族は、震災前となにひとつ変わらない生活を続けているではありませんか!
「ポストアポカプリスなんて起こらないんだ」
「恐怖の大王(1999年に空から降ってくるとノストラダムスが予言した)が降っても何も変わらない。きっと」
終末論に憧れる心持ちが雲散霧消していったことをよく覚えています。外部からの大きな力によって、自分の人生が転換するなんて都合のいいことは起こらない。自分を変えられるのは自分の意思と行動だけだと、当たり前のことを気づかせてくれたのが阪神淡路大震災で、わたしはこれをきっかけに大人になったような気がします。
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