静謐で緻密な言葉で紡がれた硝子細工のようなこの小説は、その内容をよくよく読むと人のえぐみや後ろ暗さが隠れていることに気付く。この作品が、水底で密かに交わされる内緒話のように感じるのは、水槽のそばの出来事だからだけではないと思う。美しさと醜さを表裏に持っていて、それでも惹きつけられる。大好きです。