26話 2日目の波乱
ー2日目ー
「マリーさん、今日はとりあえず昨日できなかった科目と昨日のテスト直しをするわよ。」
「わかりました」
***
テスト結果
国語:60点
理科:53点
社会:78点
英語:24点
「英語低っ!他の科目も満点には程遠いけど、特段やばい」
「まあ、このレベルの問題ならほぼ知らない単語や応用の文法で固まっているから対策を知らない状態で取れないことは別におかしなことではないわ。それよりも、暗記の塊である社会や国語で8割取れてない方が問題ね。」
「た、確かに…」
私は彼女の話を聞き、納得の2文字が浮かぶ。前世からそうだったがこういう練習のテストでは何点だったか、が重要ではなく、どこを間違え、どこを取らないといけなかったなど次につながることを考えることが大切だ。
でも、それでも思う。応用問題が難しいとはいえ満点を狙っているのにこんな点数ではいけない…と。
「まぁ、でもまだこれは1回目の模試。対策も何も知らないでやったから悲観することはないわよ。大事なのは次につなげることよ」
そうやってちょうど私がへこんでいると彼女はそう言って励ましてくれた。
その言葉はまるで心を読んでいるようで私の思いを綺麗に肯定してくれた。
…彼女もサルネ様と同じように何かしら特殊な納涼でも持っているのだろうか?
「そんなことないわよ。ただ、あなたが顔に出てすごくわかりやすいだけ。」
「…そんなにわかりやすいんですか」
「ええ、商人の王であるグラーム家の目を舐めないことね。」
彼女は自信満々にそう言った。
私としては、理由はすごく納得できるのだがなんとなくそれを認めるのは嫌なので私は、彼女の商人の目がとてつもないということに心の中でそう暗示した。
そう、決して顔に出やすいからではないはず…
「…ほんと、わかりやすいわね」
「…?なんか言いました?」
「これからテスト直しをするわよって言ったのよ」
「あ、了解です。」
***
「ここは、こっちのやり方を参考にしないと解けないの」
「あ、なるほど。だから、計算しずらいと思ったんだ」
かれこれ2時間経過した今、私はミリーさんにやりやすいやり方などのコツを教わっている。
さすがサルネ様が推薦するだけのこともあって教え方はものすごいわかりやすいし、何よりもテクニックがすごい。
一つ一つのコツを合わせてミスを減らせるだけ減らす。
テストで点を取るのに一番必要と言えるやり方を完璧に熟知しているのだ。
このテスト直しの2時間だけでも自分で前より応用がパッとわかるようになったと感じるようになった。
明らかに早計だがこの調子ならなんとかなるかもしれないという気持ちさえ湧いてくる。
それくらい彼女の教え方はすごいのだ。
***
「…そう、それであっているわ。」
「よっし、これで今日の分は終わりかな」
「ええ、お疲れ様」
「今日もありがとうございました。」
「ふふ、いいのよ。ここまでまっすぐ努力する子を教えるのは楽しいもの。」
今日ももう帰る時間。勉強に集中していると時間があっという間に過ぎていく。
時計を見るとかれこれ4時間経っておりもう8時を回っている。
外もすっかり暗くなっており、時間の進みを実感する。
「あー、もう暗いわね。マリーさん迎えは?」
「あ、一応駐車場にメイドの子を待たせてます。」
「…これからうちに泊まらないかしら?」
「!?」
?????。
え?なんで?私迎えあるって言ったし、なんでこの流れで止まることになってるの?
もしかして私、何かやらかした?だから、家に泊めてそれでみっちり説教みたいな…
「あら?混乱しているわね……もしかして、迎えが気になるの?それならうちの執事で知らせるから心配しないで」
「いや、そうじゃなくて…それも気になってたけど!なんで急に泊まるって話になるんですか?」
「簡単よ。明日から休みでしょう。だからうちに泊まって勉強しましょうということ。…あ、もちろん服とかご飯とかはご馳走するわ」
「あっ、なるほど……って!なるか〜!」
「あら?どうしてかしら?何も辺なところはないと思うけれど」
「私、中流貴族、あなた四大貴族、オケー?」
「?オケー?」
「アンド、イフ アイ ゴー ゼア アロンドピーポー サプライディング、オケー?」
「ああ、周りが騒ぐってことね。なんでわざわざ片言で言うのよ」
「あまりの驚きで言葉がバグって」
だって見てくれよ。私の肌をなんか辺な汗かいてるし鳥肌だってたってる。
マジで驚いたよ、マジで。
なんでサルネ様といい、ミリー様といいこう、自分の立場を知らないようなトンデモ発言してくるんだろうか?天然なのか?天然なんだな?天然であってくれよ?頼むから。
…正直、四大貴族クラスの人からこういう話があるとまじで驚く。だって本来こういう人たちって私みたいな人は遠くで眺めているものなのに、勉強教えてもらってさらに家で特訓まで付き合ってくれている。
これはいうならば総理とたまたま関わる機会があってそれで向こうが家泊まっていく?高いているようなものだ。そんなん言われたら誰だってびっくりするだろう?
あれ?てか、その基準で考えたら私すでに結構話題になるようなことしているのでは?
「…ともかく、マリーさん。うちに泊まることは嫌なのかしら?」
「…あ、いえ決してそんなことはなく…。私も勉強したいですし、泊めて下さるなら是非行きたいです」
「そう、ならいいわ。今から迎えを呼ぶから行く準備をしておいて」
「いきなりがすぎるって言いたいけど、なんかもういいや(諦め)」
と、いうことで急遽私は四大貴族グラーム家に泊まることになったのだった。
***
「ずっと忙しかったから久しぶりに見にきたのにマリーちゃんまた、こんなことしてるんだ。」
私とミリーさんの生徒会室を外から聞いている人影がある。
「あれだけ止めたのに、まだやろうとしてるんだ、
カフェでの作戦。……やっぱりマリーちゃんもあの女に犯されているのかな?」
その少女はずっとそこをさりながら静かに微笑む。
「やっぱり、消さないとね」
その瞳、その表情、それは恨みをもった人間の色気のないそんな表情だった。
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