金髪ドS嬢、異世界で魔王を調教します。
魚永 えど
第1章「金髪ドS嬢が転生するまで」
第1話 ただの女子大生…?切原奈月
2028年春。切原奈月は大学2年生になっていた。
怒涛の受験勉強を経て、都内御三家の一つ、水蘭大学にようやく入学してから1年。
新学期最初の授業が終わり、昨年の出来事をぼんやりと思い返しながら校舎を出て正門へと向かっていた奈月。
「奈月ぃ~!」
背後から明るい声が響く。振り返ると、同じゼミの吉田みさきが小走りで近づいてきた。
「今日さ、先輩たちと飲み行かない?男女3:3であと女子一人足りないの!」
みさきの後ろには、ゼミ仲間と思われる男3人と女1人が立っている。誰とも話したことがないので、名前は知らない。男たちは明らかに鍛えられた体をしており、顔立ちも整っている。
しかし、そのうちの1人が自信満々の笑みを浮かべて奈月をじっと見つめていた。
(うわぁ…絶対ナルシスト。キモいな)
「みさき、ごめんね!今日予定あってさ。また今度誘って。」
奈月が軽く頭を下げると、みさきは「あーあ」という顔をしながらため息をついた。
「またぁ?一体なんの予定なのさぁ?」
「バイト!ほんとごめんね。」
それだけ言い残し、奈月は正門へと足早に向かった。
奈月の背中を見送りながら、肩を落とす男性陣。
「奈月ちゃん、今日こそ飲めると思ったのになぁ。」
「ほんと、あの子めちゃくちゃ可愛いよな…本当にフリーなのか?」
「多分、誰とも付き合ったことないと思いますよ。」
怪訝な顔でみさきが続ける。
「1年間仲良くしてるけど、浮いた話なんて一切聞いたことないし。最近、付き合いも悪くなっちゃったしね。バイトって一体何のバイトなんだろう…?」
水蘭大学の2年生の間で、奈月は謎めいた存在として知られていた。
金髪のロングヘアが特徴的で、整った顔立ちと目を引くスタイル。男性陣の間では隠れアイドルのような存在だったが、プライベートについては一切語らない。
「なーんか、とんでもない秘密とか隠してそう…ふふっ。」
みさきが軽く笑うと、場の空気が緩む。
「さ、気を取り直して飲みに行きましょ、先輩!」
奈月のことはひとまず置いておき、男女5人は連れ立って正門を出ていった。
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