第6話

 ※※※


 天才大学生、優愛の推理ショーは大成功だった。


 優愛の推理は完璧だった。

 終わった時には思わず皆スタンディングオーベーションしたくらいだった。

「いやぁ、すごいね。トリック何であんな細かいとこまでわかるの!?見てきたみたいだよね。リモートじゃあの感動は味わえなかったね」

 晴川くんも感動してくれたようだ。

「動機まで完璧にわかるとか、アイツはすげえなぁ」

 石丸さんも感心している。

「犯人が逆上した時、ほらヤバいじゃん!って思ったんだけど、ちゃんと犯人の行動予測して罠張ってて反撃した時とか、もうカッコいいー!ってなっちゃった!」

 松山さんは目がハートだ。

 ふふ、そうでしょうそうでしょう。あれが私の友人だよ。

 私は優愛が褒められて鼻高々だ。


 ところで、私はこの推理ショーで驚いた事があるのだ。


「よう、姉ちゃん。姉ちゃんのダチ、なかなかやるじゃねえか。つまらねえもん見せるんなら殺してやろうかと思ったけど、なかなか面白かったから許してやる」

 権田原さんがそう言いながら私の肩をポンと叩いてきた。


 そう、まさかの権田原さんが犯人じゃなかったのだ!!


 優愛、紛らわしい言い方しないでよ……。

 私は完全に脱力してしまった。


 ちょうどその時、パトカーのサイレンの音が聞こえ、がやがやと警察が入ってきた。

 警察はオーナーから軽く話を聞くと、部屋の隅で縛られていた犯人をパトカーにサクサクと連れて行った。


「未菜!!」

 優愛が私に近寄ってくる。

「私はこれから、警察と一緒に現場に行って、さっきの密室についての説明をしてくるよ」

「ああ、頑張れ」

 私はそういって拳を握ってみせた。

 そんな私に優愛はニッコリ笑った。

「悪いね。未菜、今回人が多くて疲れたよね。いつもありがとう」

 そう言って、優愛は颯爽と行ってしまった。


 私はゾクゾクする。


 そう!これこれ!

 天才の優愛に、何もできない私が感謝されるこの瞬間!

 承認欲求が満たされるこの瞬間のために私はいくらでも苦労できるのだ。


 それにしても今回は少し疲れたけど。

 私は優愛のために、いや、私の承認欲求の為に集めた大勢の人達を、満足げにみつめるのだった。


 End

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犯人が分かったので皆を集めて下さい りりぃこ @ririiko

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