壮絶な戦いの中で人間の本質を問いかける物語。主人公・隼人は、仲間と共に過酷な運命を生き抜く剣士ですが、彼の物語は単なる戦記に留まりません。戦場に立つたび、彼は「生きる意味」「正義とは何か」「人と獣の境界」「希望の在処」といった深遠な問いに向き合うことになります。

　冷徹な戦略家・白雪泉華が語る「意志の力が人を生かすのか、それとも滅ぼすのか」という問いは、戦いの目的を見つめ直させます。戦友・真白が選択を迫られる場面では、単純な善悪では測れない「正義の在り方」が浮かび上がります。さらに狂獣との対峙では、人間と獣の違いとは何かが問われ、読者もまたその答えを探すことになるでしょう。絶望に沈む夜に交わされる言葉は、希望の意味を静かに問いかけます。

　本作の魅力は、壮絶な戦闘描写だけでなく、登場人物たちがそれぞれの信念を持ち、答えのない問いに向き合う姿にあります。戦いの果てに彼らが見出すものは何なのか。ぜひ、その答えを見届けてください。