歯の妖精の正体

 6歳頃、私は歯の妖精さんを信じていた。

 枕の下に歯をしまうと

 ちゃんと鈴の音がして、

 歯が50円とか10円になっていたのだ。


 丁寧に手紙がついていた日すらあった。


 だが、小学生になってから、

 ぱたんと歯の妖精が来なくなった。


 次女の蓮花れんか

「咲楽が悪い子になったからだよ。」と言った。


 長女の杏は何も言わなかった。


 しっかりおばあちゃんの家事を手伝ったり、

 お買い物のお使いも、お掃除もしている。

 イタズラしたり、駄々こねたり、悪いことなんてひとつもしていないのに。


 ただ妖精を信じればよかったのに

 私はここで人生最大の失敗を選んだ。


 おねぇちゃん達が妖精さんの正体ならば、

 おねぇちゃん達に恩返しにお金を返さなければ、


 私は歯の妖精さんのお金はとっておいていたし、家事をすればするほどお小遣いを貰えた。


 だから、

 歯の妖精さんのように

 私は家族の財布に小銭を返した。


 それの姿を次女に見られてしまう、

 私が小学校3年生になるまで。


 だが、事件が起こる。

 次女と文房具屋さんに行った時、

 確かに1000円貯めてたから、

 おばあちゃんに立て替えて貰って財布の中に1000円を入れていたのに、財布の中に1000円ない1000円が次女の財布にあった。


 会計の際に私が1000円を出そうとしてないと

 気づいた。


「いい、私がだす。」


 そう言って蓮花が1000円を出した。


 そう。

 私が小学2年生の頃から私の財布から、

 勝手にお金を抜き取っていたのだ。


 それだけではない。

 私は蓮花の友達の弟の幼なじみが嫌で小学校2年生の時から一緒に通学しないようにしたが、

 蓮花は小学3年生から、気が荒くなった。


 私に手を上げるようになった。


 それが私だけでなく、杏や、母、おばあちゃんを

 巻き込む蓮花財布から現金泥棒事件になるのは私が高校生になろうとしたくらいの出来事だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る