ある冬の日。

 その日はとても寒かったのだけど、あんはあったかい恰好をしていなかった。あんは小さく震えていて、とても寒そうだった。だから先生はあんに自分のコートを(もちろん、少し大きかったけど)着せてあげた。

 するとあんは「先生。すっごくあったかいです。どうもありがちょう」と言って、ちょこんと頭を下げた。

 先生はコートをあんに貸してあげたから、寒いままだったけど、あんが寒くなくなってよかったと思った。

「あんちゃんはコート持ってないの?」と先生が聞くと「もってません」とあんは言った。

 先生はあんに子供用のコートを買ってあげたいと思った。(でも勝手に買ってあげるわけにもいかなかった)

 だから先生は今日は自分のコートをあんに貸してあげたままにして、明日からはあんのためにもう一枚、今日の帰りにでも子供用のコートを買って、それを持ってこようと思った。

 そのことをあんに言うと、あんはとっても驚いた顔をした。

「先生。本当にいいんですか?」と驚いた顔のままであんは言った。

「もちろん。いいよ。あんちゃんはいつもいい子にしているからね。先生からのあんちゃんへのちょっと早いけど、クリスマスプレゼントだよ。でもコートを着るのは学校の中だけで、お母さんには内緒にしてね」と言った。

 あんは「先生。ありがちょう」と言って、またちょこんと頭をさげた。(あんは小さく震えていた)そんなあんのことを先生はぎゅっと抱きしめてあげたいと思った。

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