第65話

「俺、ハンバーグ捏ねるから」

「じゃがいも潰すのってこんな感じ?」

その日は心結の誕生日だった。

土曜日の夕方、下宿人達はあくせくしてご馳走を準備していた。

瑤がアドバイスして少しずつ料理が仕上がって行く。

ハンバーグとエビフライ、ポテトサラダ、コンソメスープにご飯。ケーキは苺のショートケーキ。

全て心結の好物である。

心結は奈緒と一緒に出掛けていた。

奈緒はプレゼントにセーターを買った。

女の子に人気のブランドの店に一緒に行って選んだものだ。


「心結ちゃん、誕生日おめでとう!」

テーブルの上に並んだ料理を見て、心結は感激の声を上げた。

「これ、みんなから」

心結は白い紙袋を受け取った。

「さあ、食べよう。せっかくの料理が冷めてしまう」

大家も仕事から戻って細やかなパーティが開かれた。

ケーキの時になって心結は袋を開けた。

真っ白な雪のようなコートが入っていた。

「うわあ!可愛い!」

心結は感激の声を上げた。

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