明日はデート?

「愛羅、朝……じゃなくて、お昼は何が食べたいとか、希望はあるか?」


 姉さんが家にいないのを確認した俺は、堂々とリビングで愛羅に向かってそう聞いた。


「ヒロトの料理」


「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ごめんな。今日は無理だ」


 本当は愛羅の為に今すぐにでも何かを作ってやりたいけど、冷蔵庫の中の食材的に時間をかけずにパッと作れるようなものが思いつかないんだよ。

 いつ姉さんが帰ってくるか分からない以上、時間をかけて何かを作るより、簡単なものを用意して、それを食べてもらう方がいいだろうと思うから、愛羅には悪いけど、今日は無理なんだ。


「なら、何でも大丈夫」


「そうか。だったら、外にでも食べに行くか? それとも、今日は家で適当に済ませて、明日外で食うか?」


 明日も学校は休みだから、俺はそう聞いた。

 ……正直、今日はもうお昼だから、外に食べに行ったとしても本当に食べるだけで帰ってくることになりそうだったからこその提案だ。

 ……俺の手持ちの金じゃ二日連続外食はちょっとキツイっていうのもある。

 

「明日なら、そのまま適当にブラブラと歩くこともできるぞ」


「デートってこと?」


「……親子で出かけることをデートとは言わないと思うから、デートでは無い、かな」


「分かった。明日、ヒロトとデートする」


 話を聞いていなかったのかな? デートじゃないって。

 

「朝から?」


「朝早くとは言わないけど、今日みたいな時間に起きるのはちょっと遅すぎるから、もう少し早く起きて、家を出ておきたいな」


「分かった。明日はちゃんともっと早く起きる」


「俺が起こしてやるからな」


「うん」


 明日の予定が決まった。……のはいい事なんだが、結局、今日の昼食はどうしような。

 カップ麺でいいかな。栄養面……はまぁ、一日くらいなら大丈夫か。


 そう思い、俺は二人分のカップ麺の準備を始めた。

 寝起きでカップ麺……とちょっと思わない所が無い訳ではないけど、今日くらいはいいだろ。

 そもそもの話、俺もカップ麺なんて食べるのは8年ぶりなんだし、楽しみなんだよ。


「これで3分待つんだ」


 お湯を入れた俺は、愛羅に向かってそう言った。


「これで、できる?」


「できるよ」

 

 不思議そうにしている愛羅に微笑ましい気持ちになりながら、時間が経つのを待った。

 

 そして、あっという間に3分が経ち、カップ麺が出来上がった。


「食べるか」


「うん」


「熱いから、気をつけろよ」


「分かった」


 そうして、始まり方は割と最悪の休日だったけど、悪くない時間を過ごした。

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