姉孝行(2)

「ただいま〜」


 愛羅が望む限り、ずっと一緒にいるということを誓った後、ちょうど夕食を作り終わった辺りで姉さんが帰ってきた。


 ……大丈夫だってことは分かってるけど、急に不安になってきたな。

 

「おかえり、姉さん。……その、いつも、姉さんは大変だろうし、日頃の感謝を込めて今日は俺が夕飯を作ってみたんだけど……迷惑じゃなかった?」


「えっ? 大翔が夕飯を作ったの〜?」


 姉さんはびっくりしたように目を丸くして、そう聞いてきた。


「う、うん」


「もちろん、迷惑なんかじゃないし、嬉しいよ。ありがと〜。……でも、いつから料理ができるようになったの〜?」


「……スマホとかを見て、頑張ったんだよ」


 一応、嘘じゃない。

 本当にスマホを見て調べたりはしてたしな。

 まぁ、まさか異世界で出来た娘の為に料理を覚えた、なんて言えるわけ無いしな。


「ん〜、ありがとね〜、大翔。本当に嬉しいよ」


 そんなことを思っていると、姉さんのそんな言葉と共に、俺は頭を撫でられた。

 ……恥ずかしいんだが。

 愛羅が近くにいるだろうということもあって、余計にさ。

 ……いや、別に抵抗はしないけどさ。

 俺にとっては8年ぶりなんだから、何もおかしくは無い……と思うし。


「直ぐに服を着替えてくるね〜。せっかく大翔が夕食を作ってくれたんだから、温かいうちに食べないとね〜」


「用意してるよ」


 姉さんが喜んでくれたことに内心で安堵しつつ、俺はそう言って、料理をテーブルに並べて、箸とかを準備し始めた。


「お待たせ〜」


 そして、またしてもちょうど準備をし終えたところで、姉さんが服を着替えて帰ってきた。

 

「「いただきます」」


 二人でそう言って、夕食を食べ始めた。


「ん、美味しいよ、大翔。初めて作ったとは思えないくらいだよ」


「良かったよ」


 一応、初めてでは無いんだけど、姉さんはそんなもの知る由もないだろうし、俺はそんな気持ちを顔に出すことなく、そう言った。




「ご馳走様〜。本当に美味しかったよ、大翔」


 そして、夕食を食べ終わると、改めて姉さんが笑顔でそう言ってきた。

 

「うん。……これからはさ、毎日は無理かもだけど、俺も姉さんの負担を少しでも減らすために、夕食を作るね」


「嬉しいけど、別に私に任せてくれてもいいんだよ〜?」


「俺がそうしたいんだ」


「なら、大翔が忙しくない時は、任せようかな〜」


「うん。次からはちゃんと連絡するね」


 そんなやり取りをして、何となく気恥ずかしくなってきた俺は、風呂を沸かしに風呂場に向かった。

 

「先に入っていいよ〜」


 姉さんに風呂に入るかを聞くと、そんな言葉が聞こえてきた。

 ……嬉しいけど、一つだけ不安な点もあった。

 また愛羅と一緒に風呂に入るのか、という不安だ。


 ……ま、まぁ、あれだ。別に昨日と同じで、なるべく愛羅の方を見ないようにしたらいいだけだ。

 どうせ逃げ道は無いんだから、と俺は覚悟を決め、自分にそう言い聞かせた。

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