第37話
「イサトおにーちゃん!!」
ヒカリはコンビニの前にいる勇斗の所まで走った。
「ーーーーーーーー…何してんの」
「ハァー…ハァー…ハァー………ごめんなさいっ」
「ーーーーーーーー…イキナリいなくなったらダメだろ」
「ハァー…ハァー…ハァー………ごめんなさい」
「ーーーーーーーー…でも、何にも無くて良かった」
勇斗は安堵の息を吐く。
「ーーーーーーーー…急にいなくなったら心配するから、一体どうしたワケ?」
勇斗はヒカリの目線に合わせて話す。
「あのね、ぼうしがとんでったらーーーーーーーー…おねーちゃんが…」
ヒカリは心晴がいた方を見る。
「……あれ…いない…」
ヒカリは首をかしげる。
「ーーーーーーーー…わかったよ、じゃあ、帰ろっか」
勇斗は手を差し出した。
「うん」
ヒカリは差し出された勇斗の手を握った。
勇斗と手を繋ぎながら歩くヒカリは自然と表情が和らいでいた。
「今日は何が食べたい?」
「ハンバーグ!!」
すれ違った親子の会話を聞いて、ヒカリの表情が少し固くなった。
『ヒカリちゃんってパパもママもいないんだもん』
ギュッ………
「ーーーーーーーー…?」
ヒカリに手をギュッと握られて、勇斗は何かを感じ取った。
「ーーーーーーーー…どうした?」
勇斗は足を止めて、ヒカリの方を向いた。
「…ヒカリ、ようちえんでかなしいコトあった」
「ーーーーーーーー…うん」
「…ヒカリ…パパもママもいないけど…イサトおにーちゃんいるから…へーきだもん」
ヒカリの言葉から精一杯に自分の気持ちを抑えているのが、勇斗にはわかった。
「ーーーーーーーー…ヒカリ」
勇斗はヒカリをゆっくりと抱き上げた。
「ーーーーーーーー…ありがとう」
「えっ……」
ヒカリは勇斗の言った『ありがとう』の意味が分からず首をかしげる。
「ーーーーーーーー…お前の父さんが帰って来るまで、ズッとそばにいるよーーーーーーーー…絶対にヒカリを一人にしないから」
勇斗はヒカリの目を見つめて、少し微笑んだ。
「…うん」
「…何よ…何なのよ…その子はーーーーーーーー…勇斗…貴方は私のモノでしょ……」
楽しそうに笑う勇斗とヒカリを物陰から見ている女の姿ーーーーーーーー…
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