第4話 転校生

辻堂団地に引越した小6の千恵子が転校したのは、団地の入居開始に合わせて1964年4月に新設されたばかりの高砂小学校だった。2つ上の兄は1956年に設立された藤沢市立湘洋中学校の2年生に編入した。6年生の10月中旬に初めて千恵子が学校に行った時、クラスはひとクラスで生徒は10人くらいしかいなかった。教室の前で自己紹介をして、自分の席に着いた。


その翌日、新しい転校生が紹介された。皆、新しく出来た辻堂団地に引っ越してきた子どもたちだった。その後も新しい転校生が紹介されて、その子の家にみんなで着いて行って遊んだりもした。こんな経験はなかなか出来ない面白い体験だった。


最終的には翌年の昭和40年3月23日の卒業アルバムには男子9名、女子23名、合計32名の同級生が揃った。6年1組のひとクラスだけだった。しかも先生手作りの手書きの卒業アルバムだった。1964年春から1965年3月までのたった1年間のクラスだったが、担任の先生は手作りで全部作ってくれたのだと思うと本当に感謝する。


卒業記念に学校の玄関前に植えられた松の木の下に、タイムカプセルをひとりひとり作って埋めた。そのカプセルに何を入れたかは覚えていないけれど、それが今も土中に眠っているのかは気になる。いつか訪ねて掘ってみたいものだ。



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