Chapter 3-1
「……ふぅ」
プロジェクト日記なる物をある程度書き終え、ホットドリンクを飲んだが既に冷たくなっていた。
アドヴェン艦内では、地球のシミュレーションルームと同様に、AR空間が使える様に調整して貰っている。
工作室では通常の端末から、艦内ではタブレット端末があればAR空間への接続は可能となっている。
ただし、地球のAR空間と接続が出来る訳ではなく、テスト航海に出る時に今までのデータをコピーして反映している。
地球に戻ったら、マージしてやれば、こちらの情報や私達が居ない間の情報は両方とも残るようになっている。
冷たくなったドリンクを飲み終えたところで扉が開く音が聞こえた。
振り返るとラビが入って来て「こんなとこで何やってんだよ、リーダー」と言いながら私の前に移動してきた。
「今までのプロジェクト日記を書いてたのよ」
「日記?へぇー、まめだなぁ」
「まめっていうか、今まで書いてなかったから暇なうちにね」
「ええ……そういうのって、毎週とか毎月とか、そういう単位で書くもんじゃなかったっけ?」
「それはそうなんだけど……それを言うならラビ、あんた副リーダーなんだから書いてくれても良かったのよ?」
ラビは俗に言う週報や月報みたいな物を言いたいのだろうが、うちのチームでは毎日朝か夕方、または両方に会議をしていたため、そういうものは採用していなかった。
私としてはあまりやりたくないが、ラビも嫌な顔をしているから嫌なのだろう。
私は書き始めた理由をラビにして、今後はラビにも書いてもらう事にした。
「はぁ~……まぁいいけどさ。後で書いたの見るわ。しかし、本当、今のところ暇だよなー」
ワープだと一瞬で着くのだが、軍側の練度を高めるためと、
速度を出しても亜高速航行を時々するぐらいとなり、到着は約1か月となっている。
帰りは、ワープテストを行うため、直ぐに帰れる予定らしい。
連合組織の軍が今回のテスト航海にて練習をするのには訳がある。
宇宙船自体は事前にもあった。半世紀前までは。
半世紀前に宇宙への進出は行わないという条約が各国で行われたため、宇宙での活動はこれまで行われてこなかったという話らしい。
しかし、連合組織が発足され、再び宇宙への進出が行われるようになったと言う訳だ。
実際は、発足よりもちょっと前から秘密裏に開始されていたのではと言う話もあるが、定かではない。
そういう経緯もあり、連合組織側の軍人達も、宇宙船の運用はほぼ素人に近いため、私達のテスト航海を利用するという算段みたいだ。
「……まぁね。暇すぎるのも良くないけど、艦の運用は軍人に任せているから仕方が無いわよ」
「まーなー……ま、俺としては操縦してみたいけどさ」
「えぇ……事故るからやめて」
「いやいや、ああ、まぁ事故になるかもしれないからいいか。はぁー本当、暇だよな」
ラビはあくびと共に、ストレッチをする様に体を伸ばして眠気を飛ばす様に動かしている。
「ああ、一応やる事はあるわよ?」
「え?……あー、AIの自己学習の手伝いだっけ?それと、名前を付けてくれ、だっけ?」
出発前に受けたAIの説明では、出来たばかりの赤ん坊という事になっている。
そのため、自己学習と成長をさせて欲しいという事であった。
また、アドヴェンは今後も人工惑星作製で使うので、ずっと一緒にやっていくことになるから、名前も付けて欲しいという事だ。
AIのスペックは最新式で、人間に近いように作られている。
学習は、通常の人間と同様に行ってみて欲しいという事らしい。
どの様に進化していくかデータを見るためとなる。
通常の教育に合わせて、艦の運用についても必要らしい。
私達で通常の人間と同様の学習を行い、軍人からは艦の運用・操舵の教育を行う予定にしている。
テスト航海に出てから数日立っているが、その間に色々と教え、今は6歳児ぐらいに成長している。
成長が早すぎるだろうという突っ込みはあるのだが、その辺りはAIという事もあり、そういうものという事で今後も進めていく予定である。
「……そう、問題は名前よね。人間で言うと6歳ぐらいまで育っているからね。そろそろ決めてあげないと」
学習の合間に名前の案を出し合ってはいたが、現時点ではホログラムモデルが男の子か女の子かは分からないため、両方の名前が挙がっている。
性別不明と言うか、美形な子になっており、大人に成長したら凄い事になりそうな予感はしている。
フレッドは機械的な名称で良いのではないかと言うが、それにラビが反論。
AIも人間と同じように扱うべきだろうと言い、口論になっていたりもする。
私を含めた他3人は、良い名前が浮かばないでいる。
いっその事、2人に任せておいて良いのではないかと私は考えているが、他人任せすぎるのもな、と考えたりもしていて、全く纏まっていないのであった。
「とっとと決めないとなー。フレッド案で型式で呼ばれるのも可愛そうだぜ?」
「それもそうなんだけどね……。私は、やっぱ思い浮かばないなー。うーん。ああそうだ。フレッドVSラビで決めればいいのよ」
全く考えが纏まらないので思いついた事を言ったが、ラビからは丸投げするなと言われ、腕を組んで再度考え直す体を取った。
しかし、良いのが思い浮かばないので、後で工作室に集合して決めちゃおうという事にした。
ラビは了解という事で、全員にチャットを出した。
「……そういや、なんで俺だけファミリーネームのままなんだ?他の連中はファーストネームだよな」
唐突に呼び方について聞かれ、何の意図があるのかさっぱり判らない。
ラビの顔からは特に情報は読み取れないと言った感じであった。
「え?2文字で呼びやすいから、かな」
「あー、確かになぁ……」
片手で顔を覆い上を仰ぎながらちょっとだけ悔しそうな感じの声で答えている、気がする。
「そういうあんたこそ、私の事ずっとリーダーって言ってるじゃない?」
他の人からもリーダーと言われているので、気ににはしていないのだがこう聞かれるとこっちも聞き返したくなる。
ラビはこちらに向き直り、ちょっとだけ恥ずかしそうな感じで「皆に合わせてるからさ」と言った。
地球に居る時、ラビと2人きりになるという事はほぼ無かった気がする。
そう言う事もあり、リーダーと呼んでいたのだという事らしい。
私はちょっとだけにやけながら意地悪な感じで「今は2人よ」と言った。
少しの間、沈黙が続いた。
ラビは複雑な顔をしたり恥ずかしそうな顔をしたりと、色々と変わっていくのを見ていて面白い。
意を決したのか真面目な顔になり、口を開け声を発しようとしたところで、扉の開く音がした。
「これはこれは……」
艦長と操縦士がそろって入って来た。
「艦長、お疲れ様です」
私は艦長に向き直り、挨拶をした。
艦長はラビの方をちらっと見た後、私を見て少しにやりとした顔をした。
「……ははっ、タイミングが悪かったですかな?」
艦長が言わんとしている事は何となくわかるが、そう言う事をしていたわけではないのできっぱりと「違います」と答え、プロジェクト日記を書いていたところにラビが来たと答えた。
艦長はどんなことをしてきたのか気にある様で、後で見せていただきたいと言ってきた。
私はそれを快諾し、後程見直してから渡すことにした。
「それで、艦長と操縦士はどうされたのですか?」
「ええ、演習の次のフェーズを行いますのでそれの前準備を」
「そうなんですか、ご苦労様です」
「いやいや。こちらの練度を上げるためにこの艦を使わせて貰っている身としては、とてもありがたいのですよ」
「そうなんですね」
「はい……」
どういう経緯で軍人の演習になっているかは知っているが、改めて艦長の口から説明があった。
連合組織の軍は、宇宙船の運用は今のところ一部の人間しか行っておらず、全員が出来るものではないらしい。
宇宙進出計画は始まったばかりとなるため、宇宙船自体が不足しているのも影響している。
そのため、宇宙に出る自分の順番が回ってくるかは運次第でもあるみたいだ。
今回、工作用宇宙艦であり、武装等は無いが、それでも練習には問題が無いと言う。
「ま、そういう訳になります。これからの演習はちょっと揺れるかもしれませんのでお気をつけてください」
「分かりました。って、重力緩和装置が有りますよね?」
「ええ、ありますとも。しかし、それを振り切る事も有りますのね」
「そんなことがあるのですか?」
艦長は私の問に首を縦に振り、再度気を付けてくださいと注意を促した。
私とラビは了解しましたとお辞儀をして、艦橋を後にした。
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艦橋を後にした私達は工作室へと向かった。
工作室に入ると私達以外、全員揃っていた。
私は、艦橋で艦長から聞いた演習の事を連絡事項として話した。
連絡事項を伝え終わり、集まって貰った議題を話し合う事となった。
話し合いの開口一番はフレッドであった。
フレッドの案は変わらず、AIと言えど機会である以上は機械的な名前で良いのではないかという事である。
これに対しラビは、機械だからと言う理由で機械的な名称になるのは可哀そうだろうと反論した。
曰く、49地区は数世紀前からAI関連のアニメやゲームもあり、現在はそれを習う形でAIも人として扱っている――法律で決まっているらしい――という。
他の国にはない独特の
フレッドは、いくらルールとはいえそんな合理性もない事をして何になるのかと聞きたいという。
ラビは合理性合理性と毎回頭お堅いですねと返し、両者の間にはちょっとした緊張状態が出来てしまっている。
私は2人の意見についてはどちらでもいいと考えている。
発言をしていない他のメンバーを見ると、私と同じようにどちらでもいいような感じの顔をしている。
2人は睨み合ったまま、硬直状態に入っていた。
こうしていても拉致が明かないので、私は思いついた事を提案した。
2人がそれぞれ決めた名前を、AIに決めさせるということだ。
これなら、本人が選ぶので合理的でもあるだろうと言い、2人はこれに賛成した。
AIのホログラムは艦内なら何処でも表示させることが出来るようになっている。
そういうことなので、工作室に表示して会話できるようにタブレットでチャットを送った。
程なくして、AIが用意したホログラムが表示された。
金髪に碧眼、顔立ちからは男女どちらか判別できない。
言い方を変えると美形である。
私はAIに近づき、目線を合わせて話し始めた。
呼んだ理由を話すと、「分かった」と頷いたので、早速決めて貰う事にした。
まずはフレッドから。
艦の名称は決めているが、識別コード名は聞いた記憶が無い。
「これなの?」とフレッドに質問したが、単に思いついた名前であるとのことであった。
名前をこれにした意味は、昔から実家にはよく咲いている花がビオラだったからという理由であった。
普段、合理的やら論理的等という人間がなんという素敵そうな名前を言うのだろうかと、突っ込みかけたがラビに名前を言う様に催促した。
ラビが考えた名前は『リン・アドヴェン』。
49地区で昔使われてい漢字に凛という言葉が有り、心身ともに強く美しいという意味があるそうだ。
ファミリーネームであるアドヴェンはこの艦の名前となる。
これらを聞いたAIは、腕を組んで目を閉じながら考えて始めた。
少ししてから目を開け、答え始めた。
名前は、ラビの名称で決めるという事であった。
これを聞いたフレッドはちょっと肩を落としているようにも見えた。
しかし次の話を聞いたフレッドは喜び始めた。
艦の識別コードは無いため、フレッドの作った名称で行う事とした。
宇宙船名称:人工惑星作製用工作宇宙艦~アドヴェン~
識別コード:B1-0RA。通称ビオラ
搭載AI名称:リン・アドヴェン
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名称を決めてから数日、火星の手前まで来ていた。
テラフォーミングチームとは今回は会わない事になっているので、そのままスルーして小惑星帯へと進む予定だ。
リンは、16歳程度まで成長していた。
ホログラムも同年齢ぐらいの容姿になっていた。
ここまで成長すると、女の子という事がはっきりと分かる。
髪を腰まで伸ばし、三つ編みを左右に作っている。
体型はスレンダーとなっている。
その表情は、殆どの男性は落ちるだろう。
そして問題は服装だ。
何故かミニスカメイドで、白黒の膝上までの靴下を履いている姿になっている。
リンに理由を聞くと、軍人が持っている本位出ていた服をそのまま表現しているらしい。
……軍人の本がどういった物か気になるが、子供の教育に良くない物ならば注意しないといけないなと思いつつも、格好は似合っているので良しとしよう。
勉学方面は話す言葉や内容もしっかりしたものとなっており、私達や軍人はその成長速度に驚いている。
いくらAIでも早すぎるのではないかと思うのだが、この辺りはどういう成長プロセスとしているかは帰ってから聞いてみたい。
勉学だけではだめだろうからと、情操教育として音楽や映画を見せたり、ラビお勧めのアニメ――宇宙に行くからとそういう物を用意してきていたらしい――なんかも見せて言ったメカ、人と間違うぐらいの感情を持つようになっていた。
異性の容姿をしていれば、惚れていたかもしれない。
軍人からは
自動操縦からリンの操縦に変わって行った時は、初めは加減速が酷かったが次第に丁寧な操縦になっていった。
また、兵器は搭載されていないが、攻撃を想定した回避運動も教えられており、そちらは、重力緩和装置が振り切れそうになる時があるくらいの動きとなっていた。
つまりは、中にいる人たちのほとんどがかなり気分が悪くなっていたのである。
超長期運用を考慮した運用を、今もまだ軍人から受けている最中となっている。
私達は大抵、工作室に集まって作業について話し合いを進めているが、リンが操舵する時は中断せざるを得なくなっていた。
と言っても、今日の操舵はかなり滑らかな状態になっており、重力を感じる事は無かった。
「結構、上手く操舵できるようになったわね」
私は独り言をつぶやくように言うと、ラビがそれに反応した。
「そうだな。その辺りは自己学習能力が高いみたいだし、それに恐らくだが俺が見せた宇宙船を操舵する系の映像が役に立ったんじゃね?」
「え?自意識過剰ねあんた」
「はっはー……酷い言われようだが、そうだったらいいなってぐらいだぜ」
その後もラビと話をしていると、リンが現れた。
「リナママ、ただいまー」
私に抱き付くモーションをしたが、ホログラムのためそのまますり抜けて行った。
すり抜けた方に体を向け「おかえり」と答えた。
教育に関しては私達で行っているが、始めから接している時間が一番長いのが私のためか、私を母と言う設定にしているようである。
それ以外の人がどうなっているのか知らないため、今のうちに聞いておこうかと考えていると、ラビが先に質問していた。
「おーう、リン。なんでリーダーがママなんだい?」
「ふふん、そうね。教えてあげるわ。ラビスケ」
ラビが質問している間に、私は水分補給しようとコップに口を付けたが、そのままコップの中に戻した。
「そうそう、教えてよ……というかラビスケってなんだよ?」
「ママはね、私に初めて教育をしてくれたのよ。色々と、ね。だから、Motherと言う訳、判った?ラビスケ」
「おう、そうだな。確かにリーダーが一番初めからずっと教育につきっきりだからな。で、だからなんでラビスケなんだ?」
「分かればいいわ。さて、リナママ。今日はどんな事を教えてくれるのかしら」
ラビは自分の質問に回答をしてくれない事に対してちょっとだけ苛立った顔をし始めていた。
私に対してママという所は、私が思っていた通りだったので、いい子に育ったなとか、ちょっとだけ朗らかな気持ちになった。
しかし、この子はどういうヒエラルキーになっているのか気になったので、その点について質問をしてみた。
リンは少し考え込んだようだが、答えてくれた。
私が一番上に居て、その下にフレッド・エミリオ・エドワードの三人の兄、永遠に超えられない壁を挟み、底辺にラビが要るらしい。
正確には自分と同等であると考えており、49地区のアニメやゲーム等を見せてくれるお友達と考えているそうだ。
私的にはラビとリンが同等というのは納得がいかないが――明らかにラビより上であるからだが友達なら仕方が無いのだろうか――今はその事は置いておこう。
キャサリンは別枠で、ヒーローという扱いとなっている。
何故かと聞くと、清楚さがある容姿であり、筋肉キャラでもある。
トレーニングについては実際に器具を使って説明して貰ったり、暴漢や痴漢――見た目は女子だが、AIだから襲われることは無いが知識として教えて貰ったという――対策も教えて貰っているそうだ。
トレーニングルームでは軍人も一緒にやっていたのだが、キャサリンが持てる重量を持てる人は居なかったらしい。
そのため、リンの中ではあこがれの対象となっているみたいである。
軍人達についてはどうなのかと聞いたが、単なる上官という認識となっているらしい。
リンをAIという道具としてしか見ていないようである。
兄と言われた三人は、両肘を立て口元を隠すように何かを考えている様――なんか妙に嬉しそうにしているような気もする――だ。
キャサリンは頬を両手で挟んで喜んでいるみたいだ。
ラビは、まぁそうだよなという具合に落胆しているが友達と言われてちょっとだけ嬉しそうでもある。
「そっかー。ありがとねー」
リンは私のお礼に対して満面の笑みを向けてきた。
その後、リンに今日やったことを聞いた。
基本的には操舵の練習と各部の稼働チェックをしていたみたいだ。
操舵中、ローリングとかもやっていたみたいなのだが、重力を感じないようになっているため、まったく気づかなかった。
私達への連絡事項は、演習予定項目は早々に完了したので、火星宙域から離れたらワープを行うという事であった。
それに備えて――行う前には艦内放送で連絡してくれるみたいだが――椅子に座り、シートベルト着用をしておいて欲しいという事であった。
「そっかー。遂に目的地に到着するのね」
私は椅子を回転させ、他の皆を見回した。
皆、顔を上げており、遂にか、という緊張を持った顔になっていた。
「ワープするって言っても、明日見たいなんだけれどね」
「え?そうなの?」
「そうそう。演習自体早く終わるとは思わなかったみたいだから、ワープの説明を読み込んでないみたいなのよ」
「えーー……それって、大丈夫なの?」
私や他の皆がちょっとオロオロとしているとリンは私も補佐で手伝うから大丈夫と、安心をさせてくれた。
リンから他に連絡事項が無いため、今日の学習を行おうと思っていたが、リンから新技を覚えたと言い、今からお披露目することになった。
フォルムチェンジと言いながら回転すると、髪の色は茶色になり、長さは肩の辺りまでになった。
服装も変わり、何処かの……確か49地区の民族衣装に変わった。
最後に、髪を結い、髪飾りを付けて完成となった。
私達はそんなことも出来るのかと驚いた。
ラビは、リンの横に移動し、どうよという様に腕組をしながら立った。
「ホログラムだし、ラビスケが姿を変えれるんじゃないか?って言いだしたから、ちょっと試してみたの」
私は感嘆の言葉しか出てこないが、「すごくいいよ」とリンの周りを回って確認をした。
リンの服は白色で和服という物らしく、49地区では数世紀前まで行事毎に来ていた服になるそうだ。
今はそんな文化は廃れて無くなってしまい見る事は無いから、ホログラムでもいいからとラビは教え込んだらしい。
服装や髪型、髪の色は変更が出来るため、何かやってみたい物が出てきたらやってみるらしい。
「後はこれね」
袖の中から私達と同じ色と形の眼鏡を取り出し、掛けた。
「それって……」
私が聞こうとしたのを遮るようにリンが説明を始めた。
眼鏡は私達が掛けているものと同じものとなっている。
機能面も大体コピー出来たらしい。
艦内にホログラムを表示させるのは1か所のみとなるが、AR空間なら艦内と同時に表示させることも出来る様に調整したとのことだ。
リン的には軍の演習に参加しているときに、AR空間で私達と話をできる様に調整したみたいなのだが、演習は終わりなので使う機会は無いかもしれないとのことである。
なお、AR空間のアバターは、初回認証時の設定が引き継がれるため、金髪三つ編みロングヘアが表示されるみたいだ。
「とまぁ、こんな感じになります」
ホログラムの表示の状態を始めに戻し、リンは軽くお辞儀をした。
私達もつられてお辞儀をし返した。
最後にワープの時間について言い忘れていたみたいだが、ワープは明朝に行うため、今日は早く寝て明日に備えておいてという事だった。
それを言い終わったリンは、今日は「やっぱり教育は要らない」と言い、ホログラムを消した。
リンが消えた後、静寂が訪れたが、私達も解散とし、それぞれ休むこととした。
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