【01-04】解体調理

 獲物を仕留めたら解体だ。まだ日が昇りきっていないので午前11時くらいだろう、時間は十分ある。前世では趣味と実益を兼ねて狩猟をしていたので、解体方法は理解している。


 近くの沢に行き、その辺の薪に『ファイヤーボール』で火を付け、水を汲んでお湯を沸かす。

 木の枝にリッパーラクーンを逆さ吊りにして、お湯をかけて泥やダニなどを取り除き、体毛を毟る。前世だとマダニは様々な感染症を媒介しているため、なるべく落としてから解体するように指導されていた。


 表面を洗い終わったら、お湯で温めたナイフで正中線に沿って開腹する。内臓を取り出す前に、胃腸から中身が出るのを防ぐため、食道と肛門を紐で縛る。

 すると心臓付近に直径5mmくらいの石があった。


「これが魔石か。本当にあるんだな」


 ルネの知識で魔石があることは知っていたが、百聞は一見に如かず。あまりの美しさに思わず見とれてしまった。

 魔石をインベントリーに放り込み、内臓を取り出して腹の中に水をかけ冷却する。


 後ろ足から胴体に向かって切れ込みを入れ、皮下脂肪に切れ込みを入れながら上から下に毛皮を剥いでいく。毛皮を剥き終わったら関節を切り枝肉にして、インベントリーに放り込む。


「解体終了、胃の内容物を確認しよう」


 前世のアライグマは雑食だった。よってリッパーラクーンも同様であって不思議ではない。雑食なら胃の内容物から周辺の植生や生態系について多くの情報を得られる。


「果実が多いな。これは羽付きの鳥類。小麦や稲のような穀類。カニの足?もあるぞ!」


 俺の今後の食生活にも期待が持てた。


「さて、洞窟に戻って食事の準備をしよう」


 拾ってきた薪を洞窟付近に作った焚き火用の石組みに並べ、『ファイヤーボール』で火をつける。

 

 熾火になったら枝肉を丸焼きにする。焼けた匂いが食欲を刺激する。


「頂きまーす!」


 俺はリッパーラクーンのもも肉にしゃぶりつく。前世のアライグマは鶏肉っぽい味のものが多かったが、リッパーラクーンはよりワイルドで美味い美味い。果実や肉などのグルメな食生活を反映しているのだろう。


「本当にここは異世界なんだな。これからどうなるんだろう」


 銃で撃ち殺されて一生を終えたというのに、異世界に転生したその日のうちに魔術を使って魔物を仕留めて美味い飯を食っている。


 俺は不安も大きいが期待も大きい。異世界の初日は希望を抱いて終えることができた。

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