人類を滅亡寸前まで追い詰め、ついに世界征服を成し遂げた――はずの魔王軍。
その悲願を達成したオルトロスを待っていたのは、魔王からの称賛――ではなく、まさかの絶叫でした。
重厚なダークファンタジーを思わせる幕開けから、予想もしなかった方向へ一気に転がっていく展開。
そのあまりの落差に、思わず笑ってしまいました。
けれど、本作の面白さは、単なる意外性だけではありません。
人間にとっては驚くべきことも、怪力や魔法、特殊な能力を持つ魔物たちにとっては当たり前になってしまう。
同じものを見ても、その価値や面白さは、相手によってまるで違って見える。
ファンタジー世界ならではの能力差と価値観のずれを、これほど鮮やかに笑いへ変える発想が、とても楽しかったです。
そして読み終えて心に残ったのは、どれほど素晴らしい技や趣味であっても、それを受け取り、驚き、喜んでくれる相手がいてこそ、特別なものになるのだということでした。
壮大な世界征服の物語が、思いもよらない願いによって形を変えていく。
シリアスとコミカル、残酷さと愛嬌、その鮮やかな落差を最後まで楽しめる一作でした。
魔王という名前、それに相応しい力、集う魔族たち。人間を支配し、殺戮しないわけがない。当然だよなあ?
じゃあせっかくだし人間を生きたまま
などと思った私は完全に魔物の心を持っていたというわけですよ。
まさかの魔物レベル99 オルテガかロトのどっちにやられるかの話でしかありません。
閑話休題、
魔王のやりたいことは違ったんです。考えてみれば人に近い姿と大きさと知性、他のあらゆる魔族を束ね従えられる力を持つという意味で魔王という存在は魔族の中の異端児なんですよね… 他の魔物たちや人間たち、そのどちらからも理解を得られずに苦しむのはもはや必然と言うべきか