労働と日々

そして、数日が経ち、作業にも少し慣れてきた。


それもこれも指導長のボヌールの田中さんの熱心な指導のおかげだ。


ボ「そうです、もっと官僚的にやっていいですから、流す感じで」


僕「え?官僚的にやっていいんですか」


ボ「もちろんですよ、スイッチとかも官僚的に押してください。ミスしちゃった時とかも官僚的に対応してもらえれば……」


僕「臨機応変じゃなくていいんですか?」


ボ「最初はまだペースわからないと思うからひとつひとつ官僚的でいいですよ」


僕「わ、わかりました」


まさか、身近なお菓子が官僚的に作られているとは思わなかった。


でも班のみんなは細かくサポートしてくれて助かる。


“慣れないうちはあまり官僚的すぎると腰やるから気をつけてね”とアドバイスももらった。


自分で手がけたウマイ棒を食べさせてもらう。


ウ、ウマイ。


この味なら僕も社会に貢献していると言っていいだろう。


さらに僕はキス枠で、特別待遇ということで、みんなより早めにあがって、特別室でのキストレを許されていた。


だから退勤後は、


黙々と、キス立て伏せや、キスベンチプレスや、キスニングマシーンなどでサーキットキストレーニングに励んだ。


せっかく僕に期待をかけてくれるのだからそれに報いたいと思った。


充実した日々。働くって気持ちいい。しかもムダだと思ってたキスが役立つなんて。


だが、知らず知らずのうちに影は忍び寄ってきていた。







                    つづく

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