その命は誰がため―――。

動物病院を舞台にした、オムニバス形式の、命を主題にした作品。
すごいです。どんどん、深みが増していきます。

まず、描写の使い分け。
弾む部分はしっかりと弾ませ、宥める場面はしっかりと宥める。
文章の使い方。表現の仕方。特に、見えないものに対する筆遣い。
最新話まで読んでの所感ですが、プロの所作だと思います。

そして何より、作者様の命に対する視線。
ときに残酷で、それでもなお息づき続ける命に対する作者様の、迷いながら目を逸らさない圧倒的な愛情が、読み手を心ごと震わせます。

稀有でしょう。この物語。

ハッピーだけでは済まないので、その覚悟はいりますが、
それでもなお、この物語に身をゆだねる機会を得たことを、幸福に思います。

2025.2.20 レビュー投稿

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