第40話 事故物件の後始末
「……来たわね」
「……ああ」
自分を
麗華は
それから約十五分後、彼女は
門の前でタクシーを
「お二人ともお疲れ様です。それで、本当に私の家は……?」
「何とか
「ありがとうございます! あの、非常にお疲れのようですけど……」
「
「ゴミは
「…………! す、すいません、お手を
「出したよ。俺の運転で」
「
「……いえ、大丈夫です」
「霊が
「PCや
そう言って幽子が庭の
PCや
「あのゴミ、早いところ捨てた方がいいわよ。悪霊って
「ゴミは溜めずに、
「そうなんですね。では、これからはそうさせていただきます」
「それじゃあ中に入るけど、
「ある
そう言われて
たしかに
自分が逃げ出した時よりも
あれだけ大きな黒い
それだけで充分だ。
「さっきも言ったけど、部屋のドアは片づけたからね」
「霊が投げた
「そういうことなら
「ベッドも真っ二つだから片づけたけど、今夜
「そうですね…… 二日続けてお
部屋の中を確認しながら麗華が答えた。
多少通学時間は
明日にも
壊れた配信用の機材なども買わないといけないし、やることが多い。
いつもよりストレスがたまるだろうし、美容のためにも体調
「この度はありがとうございました
「ああ、それなんだけど実は彼女、
「
「いえ、そんなこと……」
「それでね、武山さん。お金をもらうことはできないけど、お金の代わりになるものをいただきたいなあって思うんだけど……ダメ?」
「もちろん
「ありがと♪ それじゃ早速だけど武山さん、一緒に来てくれる?」
「あ、はい。でも、どこへ?」
「すぐにわかるわ」
麗華の
心なしか背中を押す手に力が込められているように思える。
「あの、物部さん。ちょっと聞きたいんですけど、物部さんが欲しいお金の代わりになる報酬って――」
「気にしない気にしない。すぐにわかるわよ。ね、一郎くん?」
「……ああ、そうだな」
そう答えた一郎の声はどこか重いような気がした。
麗華は幽子に押されるまま階段を下り、そのまま一階
「え? お風呂場……? 何で……?」
「すぐにわかるわ」
「で、でもタオルとか用意してないし……」
「気にしない気にしない」
「そ、それに、何か変なにおいが……」
「気にすんなって言ってんのよ! いいから入れ! あんたには
前になかなか進もうとしない麗華にとうとう幽子がキレた。
背後から首根っこを
「一郎くん! 開けて!」
「はいよ!」
幽子の
「キャアアアァァァァッ!」
麗華はそのまま空中を飛び、すでに開いていた風呂場の中へ。
――ドボォォォン!
「ゲホッ! ゲホゲホッ! いきなり何するんですか!? いくら命の
湯船から上がり、風呂場にある鏡を見た時、麗華は気づいた。
「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? 血……血血血血血血血ィィィィッーー!?」
「落ち着け。それはきみの血じゃない」
「あんたがそこに
幽子がサウナを指し
サウナのドアが開いていた。
「え……? あ…………?」
「ナイフ、
「実家が
「あ、ああ…………ああああぁぁぁぁぁぁーーっ!」
見られた。
見られてしまった。
絶対に見られてはいけないものを。
知られてはいけないものを。
真っ赤な液体が入った
大事なものを取り戻すべく手を伸ばすが、簡単にいなされた
「返せ……返せえええぇぇぇぇぇーーっ!」
「別にいいわよ。全部話を聞いたらね」
幽子は近くに
彼女の目の前でしゃがみ込むと、右手で
「あんた、何の目的でこんなもの作ったわけ?」
「……………………っ!」
「これ、全部犬の血でしょ? ゴミ袋に入ってた犬のミイラもあるし言い
「………………」
「
「………………ッ!」
麗華が無言で目を
幽子は軽く
「ねえ武山さん、動物
明らかな
いわばここは
なので、今ここでなら人知れず彼女を
「悪霊に人権はない……けど、悪人に人権はある。私ね、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます