第1話




―ガタン、ガタン。と揺れる電車に今日も溜め息を付く。

 ラフな格好なんて出来ないからスーツで出勤するのだが、まだ初夏でもないのに暑い。フラフラとなりながらも、つり革を握る。


 ドンッ!と私にぶつかってきた。(ちっ…朝から私に、ぶつかってこないでくれよ…)と睨みつけた先に見上げたら

まさかの御手洗社長だった。


 朝からビックリだし何気に電車通勤なの知らなかったんだけど!!!!って思いながらも

「おはようございます。」と声を掛けたら、お辞儀しただけで終わる本当に無口でイライラする。


 「…はよ。」って私の耳元に囁く声で話しかけられる。全然、聞こえないんですけど??と思いながらも「今日から1週間、頑張りましょーね。」なんて言ってみた。



 自分が自分じゃない感じが気持ち悪くて1時間揺れる電車から早く降りたかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る