第9話:ちょっとスケベも交えた感動の再会。
「で、気が付いたら拓んちのベランダに来てたんだ」
「部屋を覗いたら、おまえが見えたら、こっちの世界へ来れたんだって思って」
「そうなんだ・・・ちょっとアホな俺には信じられないような話」
「でも、那月はここにいるんだから本当の話だよな・・・足もちゃんと二本ついて
るし、相変わらずスカートも短かいし・・・パンツちゃんと履いてるか?」
そう言って拓人は那月のスカートをめくった。
「お〜レースの花柄」
「スケベ!!、せっかく会えて感動的なシーンなのに何やってんだよ、おまえは」
「パンツならやっただろ、生パンツ・・・」
「おう神棚に祀ってある」
「なんだよ、おまえのことだから毎日臭ってるのかと思ったわ」
「毎日パンツ神棚から降ろして臭ってたよ・・・那月〜って言いながら」
「おまえだもんな・・・」
「ってことだから・・・私は向こうの人間だけど、こっちにいた私と同一人物
だからな、拓・・・今まで通り」
「そのぶっきらな言葉使いで本物の那月だって分かるわ・・・」
「私、もう向こうには身内も誰も知り合いいないから・・・拓と一緒にこっちで
暮らすからな・・・いいか?」
「うん、いいよ・・・ってか・・・わ〜〜〜〜〜なつき〜・・・俺、まじで嬉しい・・・もう2度と那月を会えないと思っでだがら・・・おえ〜〜〜だずぎ〜」
そう言って拓人は那月に思い切り抱きついた。
冷静な時なら那月に抱きつくなんて許される行為じゃなかったけど、そんなこと
律儀に守ってる場合じゃなかった。
「あ、おおおお・・・た、拓」
「今だけでいいかだ、おもいぎり抱かじてくで〜、だつぎ〜〜」
「ん?那月〜めっちゃいい匂いする・・・俺のアソコまじ勃ってきた」
「アホか、おまえは・・・」
「でも、私ももう一度拓に会えて嬉しい・・・こっちへ来てよかった、朔太郎さん
に感謝しなきゃ」
「たぶん、向こうから私たちを見てると思うぞ」
「え?そうなの???じゃ〜俺たち出会えてラブラブだってところ見せなきゃ」
「チューしよう、チュー」
「何言ってんの?」
「恋人同士ならチューくらいするだろ?」
「チューもしないでいたら、その朔太郎さんって人におかしいって思われるぞ」
「恋人が感動の再会なのにキスもしないのかって?」
「拓、おまえそう言うスケベなことはよく頭が回るな」
「俺はしないよりはしたほうがいいと思って言ってるだけ・・・那月がイヤ
ならいいよ」
「イヤとは言ってないだろ・・・」
「いいよ・・・しろよキス・・・許してやるから」
「まじで?・・・あ〜歯磨いてないからもしかしたらニンニク臭いかも」
「いいから・・・したいんだろ私とキス」
「どはは〜・・・じゃ〜いただきます」
そう言って拓人は那月を引き寄せてクチビルを奪った・・・チュ〜って。
拓人はもう一度那月を抱きしめた・・・背中に回してた両手を、那月の
尻のところまで下げるとよいしょって那月を持ち上げた。
「大好きだよ、那月・・・世界一愛してるってば」
「おまえ、降ろせよ・・・私のパンツ触りたいだけだろ」
その模様を見ていた朔太郎・・・自分のしたことはこれでよかったんだと納得した。
「そのうち行き来ができるようになったら私も君たちに会いにいくかもな」
さあ、一件落着に見えたこの件・・・実はこれからが大変だった。
だって、那月が生きてるんだから・・・見た人は誰もが幽霊だって思うよね。
最初は拓人の母親・・・それに那月の両親・・・みんなにビビってるから説明しなきゃいけなくなった。
だから拓人は那月の付き添いで、みんなに納得してもらうために説明して回った。
最初はそんなこと誰も信じなかったけど現実に生きた那月がいるんだからこれだけ
信憑性の高い証拠はなかった。
学校や葬儀に来てくれた友人たちには那月が焼き場に運ばれる時、霊柩車の中で覚めて棺桶から出てきたと・・・。
つまり死んだと思っていたら仮死状態だったと・・・それで押し通した。
ま、死んだと思ってた人が生きてたって話は稀にあるそうだから・・・。
で、那月は両親から暖かく受け入れてもらって自分んち家に一旦帰った。
向こうの世界にはもう拓人と言う人物も、那月と言う人物もいなくなった。
つづく。
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