もちもちきつね
ぞーすい
第1話
『それ』は突然現れた。
春の真っ只中。
土曜日ということで仕事の休みを取れた俺は家の縁側で日向ぼっこをしようと思い,座布団片手に縁側へと向かった。
そこで俺は『それ』に出会う。
『もち?』
真っ白な体にもちもちボディのちっちゃな狐らしき動物だった。
とにかくもちもちだ。
その可愛さに心を打たれた俺は急いでもう一枚の座布団と茶菓子などを取りにいく。
俺が戻っても縁側にまだ『それ』はいた。
「ほらこれ,座布団。一緒に日向ぼっこするか?」
『もち!』
俺が座布団を並べると『それ』は左の座布団に座った。
俺はお盆を間に置く。
『それ』はしばらく『最中』を見ながら瞳を輝かせていたので俺は袋を開けて渡す。
『もち!』
かわいい。
「お前,名前はなんて言うの?」
『もち!』
もち?
「お前,もちっていうのか?」
俺がそう言うと『もち』は満面の笑みで顔を縦に振る。
どうやら本当に『もち』という名前のようだ。
それから俺たちはしばらくの間,2人で日向ぼっこをした。
3時ぐらいだろうか。
『もち』が座布団から立ち上がり庭へと出ていく。
そして振り返り俺に手を振ってきた。
『もち〜!』
「また来いよな。」
そう言って俺は手を振りかえす。
これは俺と『もち』が出会う,ちょっと不思議なお話である。
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