仮想幕末、紅夜叉という人斬りの噂が世間を賑わしていた。役人ばかりを狙う彼は、帝府に不満を抱く反乱組織・忠軍の一員だったが、その正体は女なのであった。帝府直轄の治安維持組織・輝真組との繋がりを得た彼女は、忠軍の低迷状態を打破すべく彼らに接触し、情報を探ることとなる。
各登場人物に、組織の一員としての顔と、そうではない人間としての顔があるのが魅力的です。
昼間の彼女・彼たちは明るく無邪気で、平和・仲良し・元気・賑やかといった言葉が似合うような関り合いをしています。恋の予感すら覚える、コメディパートです。
しかし夜になれば一変。巴は人斬りとして暗躍し、輝真隊はそれを斬らねばならない敵となります。冷たく鋭い緊張感に満ちた、シリアスパートです。
この温度差がすごくて、読んでいてピリッとなりました!
巴と輝真隊が仲良くなっていく様には、ほっこりすると同時に、緊張感が高まっていきました。正体がバレてしまうのか?戦ってしまうのか?と距離が縮まるほどにハラハラしました。
昼の顔を知り、情が芽生えるほどに増していく葛藤。自分の感情ではなく組織を優先させねばならない、相容れない立場の両者には、この先どんな未来が待ち受けるのでしょうか……!
ネタバレを避けるとこのくらいしか書けないのが口惜しいです。未読の方はぜひ実際に読んで、この温度差や徐々に高まる緊張感などを体験してみてください。
(※第5章「第56夜 思い出を胸に」までを読んでのレビューです)